2015/09/01
A 休日については、法律上の取扱いが分かりにくい部分があり、給与計算の際に間違いやすい部分です。問題を整理するために、まずは法律と用語の確認をしてみましょう。
労働基準法第35条(休日)
第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
「法定休日」とは、労働基準法第35条で定められている休日であり、
「所定休日」とは、法定休日以外に会社が与えている休日です。
35条の条文に書かれているとおり、法定休日は、毎週1日とするか、4週で4日とするか、どちらでもかまいませんが、休日労働割増賃金のトラブルを防止するためにも、就業規則で定めておくことが望ましいと言えます。
また、一般的に週休2日の会社が多いと思いますが、その場合は土曜日と日曜日のどちらを法定休日と考えればよいのかが問題になります。
こうした問題は、法定休日に出勤した場合は休日労働割増賃金(135%)が支払われるのに対して、所定休日に出勤した場合は、時間外労働割増賃金(125%)として処理されるため、給与計算に影響が出てしまい、何かとデリケートな問題になりやすいので、注意が必要です。
労働基準監督署の臨検においても、このような点が不明確になっている場合、休日労働割増の未払が指摘される場合が多いですので、労務リスク管理の点からも注意したい点です。
以下では、週休2日の会社を例として、法定休日の定め方をいくつかのパターンで検討してみたいと思います。どれも一長一短ですが、自社の管理に合う方法を検討してみてください。
この場合は、日曜日に出勤した場合は、休日労働割増賃金(135%)、土曜日または祝日に出勤した場合は時間外労働割増賃金(125%)となりますので、日曜日出勤分と土曜日出勤分を分けて管理する必要があります。
定めがない場合、行政通達の基準によって次の例のように判断されます。(厚生労働省労働基準局監督課「改正労働基準法に係る質疑応答」(平21.10.5)に基づく)
※暦週とは、就業規則等によって別段の定めがない場合は、日曜日から土曜日までの暦週と解される。(昭63.1.1基発第1号)
以下では、法定休日を定める場合の就業規則の条文例をご紹介します。
法定休日は、×曜日とする。
法定休日は、毎週×曜日を起算日とする1週間における最後の1日の休日とする。
法定休日は、月の初日を起算日とする4週間における最後の4日の休日とする。
分かりやすく処理するのであれば、パターン1がすっきりします。
日曜日が法定休日労働(135%)、土曜日祝日が所定休日労働(125%)で不平等が出ることを嫌う場合は、所定休日労働も135%で支払っている企業もあります。
できるだけ、法定休日労働(35%割増)を減らしたいとお考えの場合はパターン2もしくはパターン3がお勧めです。ただしこの場合は、給与計算の担当者側で、勤務表を見ながらチェックが必要になりますので、一手間かかることになります。
要は、給与計算の際に、タイムカードから給与ソフトに取り込む際に、休日労働とすべき部分と時間外労働とすべき部分を間違いなく処理するためのルールが必要であるという点が重要です。
振替休日の運用も絡んでくる部分ですので、自社の勤務実態に合わせて、曖昧にならないように管理していただきたいと思います。
弊社では、複雑化する労務問題やコンプライアンス対策についても、ご相談を承っております。手続や運用も含め、お気軽に当グループ社会保険労務士までご相談ください。
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