2024/07/31
A、令和6年度の税制改正において、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の再加入時の損金算入の見直しが行われ、2年間は経費に落とせなくなりました。また解約後再加入したい場合は9月末までに解約の手続きをした方が良いでしょう。ただし企業の業績等によって異なりますので解約のタイミングは検討が必要です。
本来経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は取引先事業者が倒産し売掛金債権の回収が困難になった場合に、貸付が受けられる保障制度です。その一方、掛金を損金にできるため節税(課税の繰延べ)としての効果があり人気となっております。
しかし節税を目的とした40ヶ月(3年4ヶ月)で解約してすぐ再加入する企業が増えてしまい、本来の貸付制度の利用に基づく行動ではないと今回の税制改正が行われました。
今回の税制改正内容はこちらです。
特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、本特例の適用ができないこととする(所得税についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、令和6年 10 月1日以後の共済契約の解除について適用する。
(出典:総務省「令和6年度税制改正の大綱(PDF)」)
では、経営セーフティ共済のポイントを簡単におさらいしていきましょう。
まず共済金の借入が無担保・無保証人で、「回収困難な売掛金債権の金額」か「掛金の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ない金額まで融資を受けることかできます。
例えば、後者において取引先の倒産で売掛金の回収が困難となった緊急時に、掛金を上限の800万円まで積立した場合、8,000万円の融資が受けられることになります。また、掛金は月額5,000円~20万円まで選択でき経費にすることができます。解約時には40ヶ月以上掛金を納めていれば解約手当金が全額戻るため、生命保険の商品と比較すると長期の縛りがなく融通が利くためおすすめです。
では、解約後再加入する場合9月末までに解約の手続きをした方が良いかについて考えていきましょう。
結論としては、解約し再加入を検討している場合は9月末までに解約の手続きをした方が良いでしょう。9月末までに解約が完了していましたら、10月1日以降の税制改正の対象とはなりませんので再加入の時期は10月以降でも構いません。
しかし税制改正があるからと言ってすぐに解約をしてはなりません。まずは会社の業績や共済の加入状況をしっかり確認してみましょう。
解約時の解約手当金は収益となり課税対象となるため解約のタイミングは非常に重要です。
例えば、解約のタイミングとして赤字が出ていたり、大規模修繕の発生や退職金を出す時期が良いかと考えられます。解約するタイミングの判断が難しいとは思われますが、まだ少し時間はあるのでしっかり検討されてみてはいかがでしょうか。
◆ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆
ガルベラ・パートナーズグループでは毎月1回、税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスを掲載したメールマガジンを配信しております。 加えて、メルマガ会員のみガルベラ・パートナーズグループセミナーに参加可能!
10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!