2016/01/05
Q 共済年金が厚生年金に統一されたと聞きました。当社には、公務員から転職した者が数名いますが注意しなければいけない点があれば教えてください。
A 2015年10月1日より、公務員等が加入している次の3つの共済年金が廃止され、企業に勤める役員や会社員が加入している厚生年金に統合されました。
3つの共済年金
(1)国家公務員共済年金
(2)地方公務員共済年金組合
(3)私立学校教職員共済年金
貴社の従業員のように、年金の加入履歴に共済年金期間と厚生年金期間を持っている方は、統合前と統合後では手続きの方法や年金額に違いが出ることがあります。ではこの違いを、まだ老齢年金を受けていないかたと、既に年金を受けながら働いているかたに分けて確認していきましょう。
【老齢年金を受ける取る年になっていない会社員】
現在会社に勤めていて、公務員等の共済年金加入をしたことのあるかたです。この方たちが、将来の年金の見込み額などの照会するための年金相談は、厚生年金期間と共済年金期間を通して、年金事務所でも各共済組合などの実施機関窓口でできるようになりました。 そして将来年金を受給するときの手続きも同様に、どちらか一か所の窓口に行けば、ワンストップでできるようになります。
これまでは厚生年金を請求する時に共済年金期間がある場合、加入期間を証明する書類を取り寄せる必要があったので、この手間が省けて便利になりました。
受け取る年金ですが、こちらはこれまでと同様にそれぞれの加入期間ごとに各実施機関から支給されます。
※遺族年金と障害年金については個別の条件によって手続きや扱いが異なります。
【既に年金を受けながら働いている会社員】
老齢年金を受けながら、現在も厚生年金に加入している会社員には、年金額と給与・賞与額の合計によって、年金の全部または一部がカットされる「在職老齢年金制度」があります。この仕組みが、いままでそれぞれの制度間で異なっていましたが、次のように統一されました
低在老=60歳から64歳までの年金停止のしくみ
高在老=65歳以上の年金停止のしくみ
在職老齢年金のしくみについては日本年金機構ホームページをご参考ください。
在職老齢年金制度は、60歳から64歳までの60代前半(低在老)と、65歳以降の60代後半以降(高在老)では異なった調整のしくみを取っており、高在老は低在老よりも緩やかな制度です。
貴社の社員が現在共済年金を受けながら、厚生年金に入っている場合で、年齢が60歳から64歳であれば、調整が以前より緩やかになり、受けられる年金額が増える可能性があります。
表のように、制度間で統合前と統合後の年金調整のしくみが変わりますので、いま受けている年金の種類と現在勤め先で加入している年金制度によって、年金額が増える場合もあれば減る場合もあります。(ただし減る場合には激減緩和措置が講じられています)
年金の手続きや受給額などは個人的なものなので、企業が直接かかわることは少ないですが、定年後の再雇用時の給与額の決定に関連する場合もあります。また、人事部や総務部などでは従業員から相談されることもあると思いますのでお役立てください。
ガルベラ・パートナーズグループでは、年金を受けながら働かれる従業員のかたの給与設計や労務相談を承っています。お気軽にご相談ください。
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