GERBERA PARTNERSブログ

外国人雇用|技能実習制度から育成就労で何が変わるのでしょうか?

2025/08/20

Q、外国人の受け入れを検討していますが、育成就労に変更されることで注意しなければならないことを教えてください。

     

A、新たな育成就労では、技能移転のための実習生ではなく、労働者として受け入れることになります。制度変更の概略と注意しなければならないことを解説します。

 

解説(公開日:2025/08/20)

 

ご存知のとおり、技能実習制度は2027年廃止の予定です。そもそも発展途上国への技能移転を目的として導入されましたが、人手不足を補う労働力確保の手段として運用され、低賃金労働や人権侵害等の問題が繰り返され、こうした課題を是正するために導入されるのが新たな「育成就労」となります。

 

「育成就労」の大きな特徴は、労働者としての権利保護と日本での就労・定着を重視するところにあります。従来の技能実習は、「実習・研修」の名目で転籍・転職が制限されていましたが、育成就労では、一定条件下で職場変更も可能となります。これにより、劣悪な環境で働かざるをえなかった状況を防止し、外国人本人のキャリア形成や生活安定を支える仕組みが整えられます。

 

制度の目的が「技能移転」から「人材育成」「就労定着」へと明確に変わることから日本で働きながらスキルアップし、中長期的に企業の人材として根付くことが想定されています。具体的には、入国後数年間は日本語教育とOJTを組み合わせた育成期間とし、その後は専門的分野、技術的分野の就労につなげていく流れになります。

 

技能実習制度の課題点として指摘されてきた安価な人手確保の手段ではなく、将来の戦力として育成する視点が求められます。そのために以下4点が重要になります。

1.日本語教育と正確支援の充実

外国人労働者が定着するためには、日常生活を安定させ職場でのコミュニケーションを円滑にすることが不可欠となります。受入企業単独では難しい場合、外部団体や地域と連携する体制が必要です。

 

2.キャリアパスの明確化

育成就労では段階的なスキルアップが前提となります。育成期間後にどのような職種や資格へと発展できるのか、企業側が明示しなければなりません。

※キャリアパス/レベル別年収については本年1月20日ブログに掲載

 

3.労働条件の適性化

実習生ではなく、労働者として扱い、最低賃金や残業管理といった労働法令の遵守が前提となります。育成就労では監督機関のチェックが強化される見込みで法令違反があれば受け入れ停止につながる可能性もあります。

 

4.転籍への対応

技能実習制度のように辞められない仕組みではなくなるため、労働環境や処遇に不満があれば人材が流出することになります。結果的に外国人に選ばれる職場づくりが大切になります。

ご参考までに新旧制度の比較表と企業の対応チェックリストも追記しておきます。

 

技能実習制度と育成就労の比較表

タイトル 技能実習制度(2027年廃止) 育成就労
目的 開発途上国への技能移転 外国人の人材育成・就労定着
在留資格の性格 研修に近い性質 労働者として明確に位置づける
転籍・職場変更 原則不可 一定条件下で可能
受入機関 技能実習団体中心 企業・地域・登録支援機関の役割拡大
就労期間 最長5年 段階的に長期就労への道筋あり
教育について 技能習得に偏重 日本語教育・生活支援重視
労働者保護 弱い・人権侵害事案も散見 権利保護の強化・監督体制強化
将来展望 一時的な労働力確保 専門人材への育成・定着
 

企業の対応チェックリスト

【制度理解と準備】

 ☐ 育成就労の趣旨を把握し、技能実習との違いを社内で共有しているか

 ☐ 受け入れに関する法令・ガイドラインを確認し、労務管理体制を整えているか

 

【労働環境と処遇】

 ☐ 最低賃金・労働時間・残業管理など法令遵守が徹底されているか

 ☐ 同等業務の日本人従業員と公平な処遇であるか

 ☐ 労働条件を明示・外国人本人にも理解できる形で提示しているか

 

【育成と教育体制】

 ☐ 日本語教育の提供や学習支援を行える仕組みを用意しているか

 ☐ 現場教育(OJT)と座学・研修(Off JT)のバランスが取れているか

 ☐ 育成段階後キャリアパスを明示できるか(資格取得や職種転換など)

 

【生活と定着支援】

 ☐ 生活相談や住居支援、地域とのつながりを支援しているか

 ☐ 外部の登録支援機関やNPOと連携できる体制を整えているか

 ☐ 職場でのハラスメント防止・文化的配慮がなされているか

 

【人材定着のための工夫】

 ☐ 外国人本人の声を定期的にヒアリングしているか

 ☐ 転籍・離職を防ぐために魅力ある職場環境づくりに取り組んでいるか

 ☐ 長期的に戦力として育てる意識を持っているか

 

いかがでしょうか。育成就労は、「外国人労働者を守る制度」への転換であり、企業には、「人材育成・定着」を前提とした受け入れ姿勢が必要不可欠となります。単なる人手不足の解消だけでなく地域社会とも連携しながら外国人を育て、共生していく姿勢をもつことが求められていると言えるのではないでしょうか。

 

ガルベラ・パートナーズでは、外国人技能実習などについて専門家によるご相談対応を実施しております。お気軽にお問い合わせください。

 
 

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