2025/08/26
A、はい、受けられます。退職していても、在職中の労働災害は労災保険の給付対象になります。
頻繁に起こることではありませんが、例えば仕事中に怪我をしたにも関わらず労災事故として会社に申告せずに退職してしまう、といったケースがございます。
仕事が原因による怪我や病気は、「業務起因性(負傷や疾病が業務によって引き起こされたかどうか)」と「業務遂行性(労働者が事業主の支配・管理下で業務に従事している状態)」で判断されます。
先に申し上げた仕事中に怪我をした場合、「業務起因性」「業務遂行性」の両方に当てはまりますので、労災保険申請対象となります。
仕事中の怪我で会社に迷惑をかけてはいけない等の考えや、そもそも労災保険をご存知ではない方が健康保険で受診した後、怪我をした状況を聞いてみると労災に該当する、といったことがございます。
こうなってしまいますと、本来であれば労災保険の申請により無料で治療が受けられたところを、通常の3割負担の健康保険で受診している状態になってしまいます。
この場合、いったん健康保険の医療費を全額支払った上で、労災保険に請求する、という煩雑なお手続きが発生します。
仕事中に怪我をされ医療機関を受診する際は、怪我をされた状況を説明し労災であることを伝えて治療、労災申請を行うようにしてください。
当初にお話しに挙げさせていただきました退職後に労災事故が発覚した場合でも同様です。
労働者災害補償保険法 第12条の5第1項にて「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。」と規定されていますので、先にご説明させていただきましたように健康保険で受診をしてしまっていても、労災保険での受診に切り替えることが可能です。
労災保険は原則、本人の希望有無に関わらず申請を行わなければなりません。
そのため、ご本人が「手続きが煩雑なので、このまま健康保険の受診で問題ない」と言ったとしても、その選択肢はなく、労災保険に切り替える形となります。
もしこれをせず、後から労働基準監督署の調査等で発覚し「労災隠し」と判断された場合、労働安全衛生法第120条違反となり50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、労災事故に遭われた方がその怪我等が原因で仕事を休業された場合、会社は「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出する義務がございます。
休業日数が4日未満の場合は、四半期ごとにまとめて労働基準監督署に報告しなければなりません。
提出期限は、休業をされた日が1月から3月分は4月末、4月から6月分は7月末、7月から9月分は10月末、10月から12月分は1月末となります。
休業日数が4日以上の場合、遅滞なく労働基準監督署へ報告しなければなりませんので、労災保険の保険給付の申請だけではなく、「労働者死傷病報告」の申請もお忘れなく行っていただきますようお願いいたします。
こちらも申請を忘れたり怠ってしまいますと、先の「労災隠し」と同様、労働安全衛生法第120条違反となり、50万円以下の罰金が科せられる可能性が出て参ります。
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