GERBERA PARTNERSブログ

税務 その他|でんさいの支払サイトはどうやって決める?

2025/09/12

Q、でんさいの支払サイトを取引先と決めるのですが、準拠しなければならない法令等があれば、教えてください。

     

A、下請法に該当する取引であれば下請法に準拠することになり、下請法に該当しない取引については、中小企業庁の指導に従った形で決定されることが望ましいです。

 

解説(公開日:2025/09/12)

 

2026年末までで廃止が決定している手形について、でんさいへの移行をお考えの方も多いかと思います。また長期の支払サイトに関する是正の動きもあり、でんさいの支払サイト設定に悩まれる方も少なくないかと思います。以下に支払サイトに関連する法令等を整理しましたので、取引先と支払サイトを決定される際の参考にしてください。

 

1.そもそも支払サイトとは?

支払サイトとは、請求締め日から実際の支払日までの期間を指します。ひと月の中で多数の取引を行っている場合には、一般的に月の取引をまとめて月末締め等にし、翌月末や翌々月末払いとすることが多いかと思います。月末締め翌月末払いの場合の支払サイトは30日となり、月末締め翌々月末払いの場合の支払サイトは60日となります。(但し、後述しますが、下請法上は支払サイトの起算日が異なります)

 

2.関連法令と行政指導

支払サイトを決定するうえで、準拠しなければならない法令があります。下請法(下請代金支払遅延等防止法)です。改正により名称が新しくなり、『中小受託取引適正化法(略称)』(以下、取適法。とてきほう)として、2026年1月1日より施行されます。支払サイトに関連する取適法の概要を記載します。

 

○ 取適法(該当企業及び該当取引のみ)

  • • 商品、役務の受領日から60日以内での支払いが義務付けられている
  • • 受領日起算の為、月末締め翌々月末払いなどの商慣習は、60日超のリスクあり
  • • 2026年1月より、手形による支払いは原則禁止となる。また、電子記録債権(でんさい)やファクタリングについても、支払サイトの観点から、支払期日までに満額の金銭を受け取れない場合は認められないこととなる
 

【取適法の適用要件(いずれかに該当)】

(物品の製造・修理委託の場合)

  • ・資本金3億円超の企業から資本金3億円以下の企業(個人を含む)への発注
  • ・資本金1千万円超3億円以下の企業から資本金1千万円以下の企業(個人を含む)への発注
  • ・従業員数300人超の企業から従業員数300人以下の企業(個人を含む)への発注(情報成果物作成・役務提供委託の場合)
  • ・資本金5千万円超の企業から資本金5千万円以下の企業(個人を含む)への発注
  • ・資本金1千万円超5千万円以下の企業から資本金1千万円以下の企業(個人を含む)への発注
  • ・従業員数100人超の企業から従業員数100人以下の企業(個人を含む)への発注

特に留意すべき点は、取適法上の支払サイトの起算日は、納品(受領日)または役務提供完了日から支払予定日までの期間であることです。月末締め等で取引を一括して起算するのではなく、個々の取引毎に起算することになります。例えば、毎月の取引において、月末締め翌月末払いとしている場合において、8月5日に受領した商品Aについては、その月の仕入高を合算して、翌月末9月30日にまとめて支払うことになります。この場合、商品Aの支払サイトは57日となります。

 

取適法に該当しない取引の場合は、支払サイト(請求締めから支払までの期間)に関して直接規定する法律はありません。しかし、支払サイトが過度に長い取引等は独占禁止法に抵触する恐れ(優越的地位の濫用としての「不当な支払遅延」)がありますので、注意が必要です。商習慣の違いから、業界によって一般的な支払サイトは異なります。中小企業庁の指導もあり、今後は適正な支払サイトの決定が求められることになります。

 

○ 中小企業庁の指導(全企業対象)

  • • 下請法非該当の取引であっても、「60日以内支払」が推奨されている
  • • 2024年11月以降、交付日から満期日までの期間が60日超の手形等の発行は行政指導対象となる
 

3.実務上の対応

取適法に該当する取引の場合、受領日基準となり、支払期日までに現金による満額の支払いを完了させる必要があります。したがって、でんさいを利用した決済には特に支払サイトに留意しなければなりません。支払サイトの観点からの対応策としては、以下のようなものがあります。

対応策 内容 注意点
① 個別発行 商品受領日ごとに個別にでんさいを発行し、60日以内の支払期日を設定する 発行件数が増え、事務負担が大きい
② 一括調整 月末締めを維持しつつ、最も早い受領日から60日以内に全件支払う 支払期日が前倒しになる可能性あり
③ 振込へ切替え でんさいの発行を取止め、振込で個別支払期日を設定する 振込件数が増え、手数料や管理負担が増加
④ 取適法非該当取引に限定 該当しない取引のみでんさいを活用し、月次一括で60日サイトを設定する 取引区分の管理が必要

一方で、取適法非該当の取引については、中小企業庁の指導に従って、「60日以内支払」とすることが望ましいです。「60日以内支払」は、手形の交付日が基準となりますので、例えば、月末締め翌月末手形発行の場合、手形の支払サイトを60日に設定することになります。

ただし、近年支払サイトに関しては法令の改正や指導内容の変更など、動きが多くあります。最新の法令や指導等を確認するようにしましょう。

   
 

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