2014/07/15
Q 当社では、社員の昇給は毎年決まった時期に経営陣が話し合い、決定しています。人数も増えてきたので、そろそろ各人の能力や業績に連動した人事制度を作りたいと思っているのですが、どのように作り始めればいいのでしょうか?
A 人事制度は、まずはどの等級制度を選択するかを決めるところからはじめてください。等級制度とは、社員を序列化するための方法であり、大きく分けて「職能資格等級制度」「職務等級制度」「役割等級制度」の3種類があります。これが、人事制度の根幹となります。
1つ目の「職能資格等級制度」とは、職務遂行能力の向上とともに給料が昇給する制度です。職務遂行能力といっても、仕事をこなす能力だけでなく、積極性・協調性などの情意や、成果・職責なども含まれます。能力が上がれば昇給するという単純構造のため、日本では最も多くの企業に採用されている制度といえます。
2つ目の「職務等級制度」とは、職務をその難易度によってランク付けし、それぞれの職務に応じて賃金を支給する制度をいいます。評価結果によって一定の範囲で昇給するものの、上限に達すると職務を変えない限り、昇給することはありません。
職務記述書を作成して職務の内容を明確にしておく必要があるものの、業務は日々変化するため、その作成は容易ではありません。そのため、日本ではあまり採用されておらず、外資系企業やスペシャリストに多く採用される形態といえます。
3つ目の「役割等級制度」とは、経営目標達成のために各人に求められる役割を設定し、その役割の大小に応じて給与額を決定する制度です。つまり、能力がどんなにあってもその役割を果たしていなければ、評価を受けることができません。
職能資格制度や職務等級制度のメリットをうまく導入した等級制度が「役割等級制度」であり、比較的簡単に導入しやすいため、近年最も導入が著しい制度です。ただし、役割等級制度は決まった形が存在しているわけではなく、各企業が模索しているところです。どちらかというと、すでに一定の職務遂行能力を備えている管理職に多く採用される制度といえます。
これら3種類の等級制度のどれか1つ、または複数を組み合わせて、社員を序列化するところからはじめてみてください。
人事制度は、制度を作るところまでは比較的簡単です。どちらかというと、その制度の運用をいかに簡単に、誰もが理解できるように設計するかが重要であり、そこに成功と失敗の分かれ目があると言っても過言ではありません。
当社では、すでに人事制度の設計件数は100を超えます。いつでもお気軽にご相談ください。