Q、高齢者の熱中症対策にも活用できる補助金が今年は変更されていると聞きました。2026年(令和8年)度の変更点を教えてください。
A、エイジフレンドリー補助金ですね。これまで別々に存在していた「総合対策コース」「職場環境改善コース」「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」が統合され、今年度(令和8年度)は「専門家総合対策コース」となりました。また、熱中症対策が独立した「熱中症対策コース」として格上げされたことも重要な変更点です。以下、詳しく見ていきましょう。
解説(公開日:2026/05/29)
■エイジフレンドリー補助金とは?
エイジフレンドリー補助金(正式名称:高年齢労働者の安全衛生確保対策補助金)は、60歳以上の高年齢労働者が安全に働ける職場環境の整備にかかる費用を国が補助する制度です。「エイジフレンドリー」とは「年齢に配慮した・高齢者に優しい」という意味で、加齢に伴う身体機能の変化に配慮した職場づくりを支援します。
少子高齢化が進む中、2024年の休業4日以上の労災死傷者のうち60歳以上が全体の3割を超えており、早急な対策が求められています。厚生労働省が所管し、一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が事務局を担当しています。
令和8年度は予算額が前年度の7.6億円から9.5億円(約25%増)に拡充されており、中小企業にとって活用しやすい環境が整っています。
■令和8年度エイジフレンドリー補助金の概要と変更点、申請期間
補助金の概要
補助率は、コースにより1/2、3/4、4/5と分かれています。
補助上限額は、専門家総合対策コース・熱中症対策コースは100万円、コラボヘルスコースは30万円(いずれも消費税除く)
対象事業者は、労災保険加入の中小企業事業者(1年以上事業実施・60歳以上労働者1名以上雇用)
申請方法は、郵送またはJグランツ(電子申請)です。
今年度の変更点は、令和7年度まで別々に存在していた「総合対策コース」「職場環境改善コース」「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」が統合され、「専門家総合対策コース」となっています。また、
熱中症対策が独立した「熱中症対策コース」として格上げされています。
申請期間は、令和8年5月20日(水)から令和8年10月31日(土)まで(労働安全衛生の専門家を活用したリスクアセスメントの実施申請は令和8年5月20日(水)から令和8年8月31日(月)まで)
既に公募が始まっていますので、ご検討されている方は早めのご準備をお勧めします。
■各コースの概要
(1) 専門家総合対策コース(職場環境改善・運動指導等)
第1段階と第2段階に分かれた申請構造となっています。
第1段階A(リスクアセスメント)
労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント等の外部専門家による高年齢労働者の特性に配慮したリスクアセスメント実施経費を補助します(補助率4/5・上限100万円)。なお、第1段階の申請期限は令和8年8月31日ですのでご注意ください。
第2段階B・C(対策実施)
リスクアセスメント結果を踏まえた職場環境改善や運動指導等を補助します(補助率1/2・上限100万円)。
主な対象は、
段差解消・防滑床材・凍結防止装置・階段手すり設置・高所作業台(2m未満)の導入、重量物搬送機器・リフト・アシストスーツ・移乗介助機器の導入、ノーリフトケア研修、業務用車両への踏み間違い防止装置、専門家による転倒防止・腰痛予防の運動指導(対面実施のみ)などです。
外部専門家の代わりに、自社の安全衛生担当者(事業主兼任可能)がリスクアセスメントを実施する場合は、第1段階を省略して第2段階から直接申請することも可能です。
(2) 熱中症対策コース
令和8年度から独立コースとして位置づけられました(補助率1/2・上限100万円)。
60歳以上の高年齢労働者が働く暑熱環境での熱中症対策設備・機器の導入費用を支援します。
(3) コラボヘルスコース
産業医・保健師などの専門家による健康教育・研修等を支援します(補助率3/4・上限30万円)。申請には事業主健診結果を保険者に提供していることが前提条件となります。
■熱中症対策コースの補助対象になる設備
- ・体表面の冷却を行うための機器、体温を下げる機能のある服や装備(空調服等)
- ・移動式のスポットクーラー(熱排気を屋外等へ逃がせるもの・標準使用期間5年以上のものに限る)
- ・効率的な身体冷却のための機器、アイススラリーまたは保冷剤を冷やすための専用冷凍ストッカー(最大400Lまで)
- ・健康管理システム、深部体温を推定できる機能を有するウエアラブルデバイスによる健康管理システム(通信機能により集中的な管理ができる機能を備えるもの)
なお、アイススラリー本体・スポーツドリンク・保冷剤そのものは補助対象外です。
また、固定式エアコン・工場扇・送風機・サーキュレーターなども対象外となっています。
■申請できる事業者の要件
エイジフレンドリー補助金を申請できるのは、以下の条件をすべて満たす中小企業事業者です。
- •1年以上事業を実施していること
- •労災保険に加入していること
- •役員を除き、労災保険適用の60歳以上の労働者が常時1名以上就労していること
- •中小企業基本法における中小企業事業者の範囲内であること
中小企業の範囲は業種ごとに「常時使用する労働者数」または「資本金・出資額」のいずれか一方で判定します。例えば、小売業は労働者数50人以下または資本金5,000万円以下、サービス業は労働者数100人以下または資本金5,000万円以下、製造業等は労働者数300人以下または資本金3億円以下となっています。
■エイジフレンドリー補助金の活用は専門家と相談を
令和8年度のエイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の安全確保と企業の生産性向上を両立できる有効な補助金です。予算が大幅に拡充されており、活用のチャンスが広がっています。
しかしながら、申請要件や手続きが複雑で、専門的な知識が求められます。特に、交付決定前の発注禁止や前払い禁止などのルール違反により、せっかく交付決定を受けても補助金が支払われないケースも発生しています。
制度の詳細な要件確認、自社に最適な活用方法の検討、申請手続きのサポートについては、ぜひお早めに専門家へご相談ください。
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