2016/03/16
Q 中国に子会社があるのですが、従業員の休暇について、日本と制度が違うので整理をしたいと思っています。どのような休暇があるか、教えていただけませんか?
A 前々回の法定休暇、前回の慶弔休暇に続き、今回は有給休暇ついてご案内したいと思います。
中国の年次有給休暇は、就業後に連続して12ヶ月以上働いた者に対して、毎年、以下の日数が付与されます。
上記の日数は、2008年に制定された年次有給休暇実施弁法に規定されている日数ですが、会社が福利厚生の意味で補充年休を与えることは妨げられていませんので、恩恵的に日数を加算している会社もあります。
そもそも中国の場合の在職年数のカウント方法は、一つの会社で働いた期間ではなく、その者が社会人になってから連続して働いている期間もすべて在職年数としてカウントされるため、中途で採用した場合などは、1年を待たずして有給休暇を付与することになります。
すなわち、その者がもし他の会社で10年間働いてきて、そのまま連続して転職したとしたら、入社したとたんに10日の有給休暇が発生することになります。しかし、少し充電期間を置いてから転職した場合は、1年間待ったのち、10日の有給休暇が発生することになります。
在職年数の計算は年度ごとで行い、1月1日に該当する従業員に付与され、1年で使い切らなければなりません。日本では、1年で消化しなかった有給休暇は翌年に限って繰り越すことができますが、中国では繰越しは行わず、余った分については企業が買い取らなければなりません。その買い取りの金額は、単純に1日分の給与を支払うだけでは済まされず、200%の割増しを行い、結果的に給与の300%を支払わなければなりません。
ただし、この300%は、従業員が有給休暇を申請したにもかかわらず、休暇を取得できない場合の救済措置であり、会社が休みなさいと言っているにもかかわらず、自己の都合で休まない従業員に対してまで支払う必要はありません。そのため、会社は常に従業員に対して有給休暇を取りなさいと指示することが望まれます。また、あくまでも法定の有給休暇に対してだけの話であり、会社が恩恵的に与える補充年休まで300%を支給する必要はありません。
年の途中で入社する者や、年の途中で退職する者に対しては、日割りで計算して付与することになります。そして、退職する者については、退職日までに残っている有給休暇を消化させなければならず、もし消化することができずに退職するときは、その残っている分については会社が300%で買い取ることになります。
なお、会社が従業員に夏休みや冬休みを付与する場合は、その休暇に有給休暇を充てることが許されています。また、その年度内において下記に掲げる状況のいずれかに該当する従業員は、次年度において有給休暇を受けられないものとされています。
(1) 在職期間が累計1年以上10年未満の従業員で、病気休暇が合計2ヶ月以上の場合。
(2) 在職期間が累計10年以上20年未満の従業員で、病気休暇が合計3ヶ月以上の場合。
(3) 在職期間が累計20年以上の従業員で、病気休暇が合計4ヶ月以上の場合。
最近の傾向としては、日本と同様に有給休暇を半日ずつ付与する会社も増えています。ただし、半日有給休暇を取得できるのは10回までに限定するなど、運用においてあまり会社のオペレーションに影響しないようにしているケースも見受けられます。
以上、中国の有給休暇についてご案内しました。
本稿は、みずほ銀行が発行するメールマガジン「Mizuho China Monthly 2016年3月号」に寄稿させていただいております。こちらでは、具体的な上限についても触れていますので、ぜひご参照ください。
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