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贈与税|名義だけ子供の名前にしている自動車は贈与に該当する?しない?

2016/04/04

Q 自動車の購入費用などは全て父である自分が負担してもっぱら自分が使う状態なのですが、名義は形だけ息子の名前を借りて息子名義となっています。このような状態で問題は無いのでしょうか。

 

A  相続税法基本通達9-9において、他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱う旨が規定されています。

 

 よって、このような名義だけ借りているだけだとしてもご自身が購入した自動車が息子さんの名義で登録されている自動車は、相続税法基本通達9-9の適用により贈与と認定され息子さんに対し贈与税が課税される可能性が高いと考えられます。

 

 ただし、このように息子さんの名義で購入した自動車について、贈与税を課税する課税庁側の決定処分について、その財産の実際の帰属をめぐり、国税不服審判所が贈与税決定処分を取り消したという事例もあります。

 

 これは上記と同じような状況で、請求人(息子)の父が購入した自動車の代金全額を父名義の預金口座より支払う一方、車検証の名義(所有者の氏名)を請求人としていたことで、課税庁側は父が購入した自動車は請求人の名義で登録されているため、請求人が父からの贈与により取得したものと認められると判断し、請求人に対し贈与税の決定処分等を行ったものです。

 

 この処分を不服とする請求人は、審査請求の中で請求人が自動車の名義人とされたのは自動車会社と取引関係がある会社の従業員である請求人の名義で登録すれば装備品等の優遇を受けられたからであると指摘したうえで、単なる名義貸しであり贈与でないと主張し、贈与税決定処分等の取消しを求めました。

 

 国税不服審判所は、まず、相基通9-9について、財産の名義人とされている者がその真実の所有者であるとの経験則が存することを前提として、他の者の名義で新たに財産を取得等した場合には、反証が無い限りは贈与があったことを事実上推認する取り扱いを定めたものであると解釈しました。

 そのうえで本件について審判所は、自動車の代金全額を父が負担しているのに請求人の名義で登録されているため、反証がなければ相基通9-9により父から請求への贈与として取り扱われると指摘。そして、反証の成否について審判所は、(1)父は購入自動車の装備品等の割引を受けるために請求人名義で購入したことが容易に推測されること、(2)請求人は自動車をほとんど利用していなかったこと、(3)請求人が自動車の選定や購入手続きに関与した事実は認められないことなどを認定。

 

 これらの点を踏まえ、審判所は財産の名義人とされている請求人がその真実の所有者であるとの経験則の適用を妨げるだけの反証がなされていると判断。請求人はその父から自動車の贈与を受けたとは認められないとしたうえで、請求人に対する贈与税決定処分等の全部を取り消す裁決を下しました。(平成27年9月1日裁決)

 

 このように財産の名義人が所有者ではないことが合理的に説明できる場合に限っては、贈与と認定されないという裁決が下されたということは、名義と帰属をめぐる贈与課税のありかたに多大な影響を及ぼすことになると思われますし、このような事例は比較的よくあるケースだと思いますので、今後一層の注意が必要となるでしょう。


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