2016/05/17
Q 有給休暇を取らせることが、義務化されると聞きました。どのような内容でしょうか?
A 長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備することを趣旨とした、労働基準法の改正案が国会で審議中です。そして、そのうちの一つが年次有給休暇の取得の義務化です。
内容は、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、使用者は、毎年5日間は時季を指定して与えなければならない、といったものです。
平成28年4月1日から施行される予定でしたが、まだ法律案の段階ですので、決定されたわけではありません。
けれども、法律の改正を待つことなく、残業時間の問題と有給休暇を取れる職場であるかどうかは、働く側にとっては大きな関心事で、就職先選びのポイント。
人材を確保するためにも、有給休暇を取りやすくすることは企業にとっての課題となっています。
そこで今回は、企業にとってもまた労働者側にとっても、有給休暇を取り易くする一つの方法として、計画的付与をご紹介します。
□有給休暇の計画的付与とは?
有給休暇は、本来労働者の指定した時季に与えなければなりませんが、企業側が予め時季を決めて取らせることができるのが計画的付与です。
例えば、繁忙期と閑散期のある事業で、閑散期に日程を決めて、全員に与えたり、一定期間中に交代制で与えたり、といった有給休暇の与え方ができます。
今年のゴールデンウィークを例にとってみましょう。
土曜、日曜と祝祭日を公休日にしている会社では、本来は5月2日と6日は出勤日でした。これを計画的付与で有給休暇にすることで、企業全体を4月29日から5月8日までの長期休業期間にすることもできれば、労働者を班に分けて、2日のうち、どちらか一方を有給休暇にすることで、カレンダー通りの営業をしながら、長い休暇を与えることもできます。
このように、労働者にとっては有給休暇の取得の促進になり、企業にとっては業務に支障のない日に取得させることができます。
この計画的付与には、次の2つのルールがあります。
1)計画的付与の対象にできる有休休暇は、5日を超える部分のみ
2)労働者の過半数代表者と労使協定を結ぶこと
計画的付与で有給休暇の時季を指定すると、労働者は気に入らなかったとしてもその日に取らないといけません。このため、自由に取れる日数を年間5日間は残すことになっています。そして企業側の一方的な押し付けにならないように、労使協定が義務付けられています。
【労使協定で定める事項】
ⅰ 事業場全体での一斉付与の場合 具体的な付与日
ⅱ 班別の交代制付与の場合 班別の具体的な付与日
ⅲ 個人的付与の場合 計画的付与の期間及び日数、計画表を作成する時期、手続、スケジュール調整の方法
なお、この労使協定には届出の義務はありません。
現在審議中の法案も、有休休暇の時季を指定して与えることになっていますから、この計画的付与に準じた方法になることが予想されます。
業務に支障をきたさずに、有休休暇を与えるには、繁忙期と閑散期、人員の配置と業務の分担と共有といった体制を含めた、予めの年間計画が必要になるでしょう。
ガルベラ・パートナーズでは、休日休暇の年間計画や、長時間労働対策の労務管理のご提案をしています。ぜひご相談ください。
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