2016/06/21
Q 最近、入社した従業員から、求人のときの労働条件ともらった給与の額が違うといわれました。求人の際に、わざと違う条件を書いたつもりはありません。今後、どのようなことに気をつけたらよいでしょうか。
A このようなトラブルを生じさせないためには、求人の際に、労働条件の設定や求人票の作成に誤りがないように気をつけることにつきますが、厚生労働省が出している調査結果をもとに具体的に見てみましょう。
厚生労働省が、平成27年度ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数を2016年6月8日に発表しました。
平成27年度の件数は10,937件であり、申出等の内容の上位は、「賃金に関すること」が2,654件(24%)、「就業時間に関すること」が2,128件(19%)、「職種・仕事の内容に関すること」が1,439件(13%)となっています。
しかし、この10,937件について、すべて会社側に問題があり、求人票の内容と実際の労働条件が違ったのかというとそうではありません。
申出等のうち、「 求人票の内容が実際と異なる」件数は3,926件(36%)、全体の約3分の1でした。
別の問題は意思疎通によるものです。
「求人者の説明不足」が2,540件で23%、「求職者の誤解」が754件で7%、「ハローワークの説明不足」が237件で2%でした。
つまり、申出のうちの約3割については、実際は異なっていないにもかかわらず、求職者に「求人票の内容と実際の労働条件が違う」と思わせてしまったとものだということです。
そのほかに「言い分が異なる等により要因を特定できないもの」とされているものも958件で9%あります。
わざわざハローワークに行ったり、ハローワーク求人ホットラインに電話をかけたりして、申し出をする人は、求人票と実際の労働条件に相違を感じたとして、ほんの一部でしょう。会社の説明不足や自分の誤解に気づかないまま、会社に対して不信感を持ってやめてしまう人も相当数いるものと思われます。
せっかく採用した従業員さんにすぐに辞められてしまうこと、やめないまでも、会社に対する不信感を持たれたままでいることは、会社、従業員さんのお互いにとって不幸なことです。
求人、雇い入れをする際には、次のことに気をつけていきましょう。
1.求人票の項目にないことでも、応募者に影響することは記載しましょう。
たとえば、平成28年6月現在のハローワークの求人票のフォームには、労使協定による控除について記載する欄はありません。会社では、必要な内容で協定も結んでいるからと、控除することを当たり前に考えていたとしても、新しく入社する人からすれば、「そんな金額が引かれるとは知らなかった。手取り金額が予想より少ない」ということになりかねません。
求人票の項目にはないものであっても、応募者に影響すると思われることは、ハローワークの担当者に相談のうえ、「求人にかかる特記事項」や「備考」に記載するなどして、もれなく応募者に伝わるようにしましょう。
2.雇い入れの際には、労働条件をしっかり確認しましょう。
雇い入れ時の労働条件の明示は、労働基準法による義務です。
法律では、労働条件通知書の交付で足りますが、通知書を渡すだけでは、労働者がきちんと読んだのか、納得しているのかが分かりません。
労働条件の通知は雇用契約書の形にして、本人にしっかり読んでもらい、内容を理解し、合意していることについて、きちんと署名してもらっておきましょう。
3.職場では、いつでも聞きやすい、声のかけやすい雰囲気をつくりましょう。
いくら求人票や雇用契約書をしっかりつくったつもりでいても、限られたスペースの中で伝えることは難しく、誤解が生じてしまうこともあります。
面接のとき、雇い入れのとき、働きはじめた後においても、応募者や従業員さんが「これ違うのではないかな?」と思ったときに、すぐに会社に聞けるようにしておけば、話し合いによってトラブルを未然に防ぐことができます。
弊社では、日常的なちょっとしたご相談へのお答えから、労務問題やコンプライアンス対策まで、幅広く承っています。お困りのことがありましたらお気軽に当グループ社会保険労務士までご相談ください。
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