2016/07/04
Q いろんな法律で規定されている住所地ってどこですか?
A 民法は、各人の生活の本拠をもって住所と定義しています。住所が知れない場合には居所をもって住所とみなすこととしています。外国人など、日本に住所を有しない者の場合は、居所をもって住所とみなすこととしています。
民法に規定する生活の本拠とは、実質的な生活関係に基づいて判定されることになります。しかし現代社会では、各人の生活圏の拡大と頻繁な場所的移動が著しく、生活関係も複雑多様化していることから、しばしばこの住所地が問題となることがあります。
市町村民税の納税義務者は、市町村に住所を有する個人となっており、当該市町村の住民基本台帳に記録されている者をいう、とされています。ただし、当該市町村の住民基本台帳に記録されていない個人が当該市町村内に住所を有する者である場合には、その者を当該住民基本台帳に記録されている者とみなして、その者に住民税を課することができると規定しています。すなわち、住民税における住所地とは、基本的には住民票のある住所ですが、住民票と住所地が違う場合には住所地で住民税が課されることとなります。
判決では、住民税における住所とは、その人の一般的生活にもっとも関係の深い場所と解すべきことを前提として、日本国内に滞在する外国人の住所も判断されるべきであると判示して、住民税の課税を適法としています。
では次に所得税法における住所地を見ていきます。所得税法は、納税義務者を居住者と非居住者に区別しています。居住者とは、日本国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。居住者はすべての所得が課税所得の範囲になりますが、非居住者は国内源泉所得のみが課税所得とされています。
所得税法は、住所の定義については何ら規定をおいていませんので、住所の定義には民法の概念が借用されることになります。
しかし、具体的に住所地が国内か国外かを判断することはそれほど容易ではありません。判決では、生活の根拠がいずれの地にあると認めるべきかは、客観的な事実、すなわち住居、職業、国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有するか否か、資産の所在地等に基づき総合的に判定するのが相当と判示しています。
たとえば、日本に居住することとなった者が、国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有している場合には、入国したときから居住者と推定されます。
最後に、相続税における住所地をみていきます。相続税においては、住所の有無は、納税義務に大きな影響を及ぼします。たとえば、相続税法において、国外に住所を有する個人で日本国籍が無く、被相続人が相続開始時に国内に住所を有しない場合には、相続人は国内財産についてしか納税義務を負いません。相続税法のおける住所も所得税法上の住所と同様に解されます。
以上のように、住所地の定義はそれぞれの法律によって異なっており、住所地の判定によって課税関係にも様々な影響を及ぼすこととなります。また、住所地の判定については明確な規定はなく実質で判断することとされていることから、その判断については慎重に行う必要があります。
住所地の判定でお困りのときは、ぜひガルベラ・パートナーズにご相談下さい。
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