2016/07/21
Q 企業版ふるさと納税について詳細を教えてください。
A 企業版ふるさと納税とは、その名の通り法人だけに適用が限定されている寄附金の制度となります。
ふるさと納税はこれまで、原則として個人が主な対象とされてきましたが、企業に対しても積極的に活用を促していきたいとの動きから、平成28年度の税制改正によりその制度内容が改善されました。
適用期間は地域再生法の改正法施行の日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に対象となる寄附金の支出をされたものとなり、具体的な特徴としては下記のものがあります。
1.節税効果はこれまでの2倍
2.寄附金の最低額は10万円
3.寄附できる地方公共団体には制限がある
4.特産品等の見返りを受け取れない可能性がある
1について
企業版ふるさと納税は以前より創設されており、寄附金額の3割(国税・地方税より控除)までを寄附金控除の対象とすることができる内容となっていました。
今回の改正によりその寄附金の控除限度額がさらに3割(2割を法人税・法人住民から控除、1割を法人事業税から控除)拡大され、寄附金全体の6割を寄附金控除の対象とすることが可能となりました。
具体例として、10万円分の寄附をすれば6万円を寄附金控除の対象として活用することができます。しかし、残りの4万円は単なる企業負担となるだけで資金繰りの厳しい企業にとっては活用そのものが難しい場合もあります。
2について
企業版ふるさと納税は1回あたりの寄附金額が最低10万円に設定されています。個人版ふるさと納税の場合では1回あたり2千円以上に定められていることから企業にとっての負担額はかなり大きいものとなります。
3について
企業版ふるさと納税には、寄附できる地方公共団体が限られており、個人版ふるさと納税の場合の様に単純に地方公共団体へ寄附して終了というわけにはいきません。
対象地域は地方創造事業(※1)を推進する地方公共団体で内閣総理大臣の認定を受けた地域が対象となり、下記要件に該当する不交付団体に対する寄附については、本制度の対象外となります。
※1しごと創生や結婚・出産・子育て等の観点より効果が高い一定の地方創生事業
【地方交付税(※2)の不交付団体】
※2地方供団体の財源の均衡化を図り、行政活動を等しく遂行することができる様に国が交付する税金
・市町村について、その全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域とされている団体であること。具体的には、東京都・23特別区・東京圏に所在する不交付団体が対象外となります。要するに財政的に豊かな地方公共団体に対する寄附金支出は認められないものとなります。
また、ふるさと納税をした企業の本店又は主たる事務所の所在する地方交付団体への寄附も対象外となります。
4について
企業版ふるさと納税では、寄附をした地方公共団体からの特産品や謝礼品といった見返り等を受けることができない可能性があります。
現行では地方公共団体によって特産品や謝礼品を受け取れるか否か対応が異なります。そのため、寄附を検討されている場合には各地方公共団体に直接問い合わせをするなどしてご確認ください。
また、特産品や謝礼品を受け取った場合には贈与に該当し、その時価相当額が受贈益として収益計上されます。
法人税法上、地方公共団体は法人として位置づけられているため、法人からの贈与として法人税課税の対象となるため注意が必要です。
■ まとめ
この企業版ふるさと納税を活用すれば寄附金額が増加し、地方の財政難や税収格差などの問題改善に向かうことが期待され、地方創生というふるさと納税本来の目標への一歩となります。
ふるさと納税を活用された方からの視点では企業PR、企業イメージのアップを図ることができます。
ただし、寄附金額のうち4割部分は自己負担となり、寄附をすることにより大切なキャッシュが手許に残らなくなってしまう点にも注意しながら活用していただきたい制度となります。
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