2016/09/27
Q 当社の社員が、バイクで通勤中に交通事故にあい、大きな怪我を負って、現在入院治療中です。当社では危険が多いことから、マイカーとバイクの通勤を全面禁止しています。この場合でも、通勤災害の労災は請求できるのでしょうか?
A 労災保険では、通勤途上で被った負傷、疾病、障害または死亡にたいして、保険が給付されます。
ご質問は、会社で決めたルールを破っている通勤は、通勤災害の対象にならないのではないか?というものです。
答えから先に言うと、会社のルールを破っていても、労災保険が決めたルールに沿っていれば、保険給付を受け取ることができます。
では、初めにどのようなものが労災保険の言う「通勤」にあたるのかを見ていきましょう。
□労災保険の通勤災害
就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路および方法により行うことを「通勤」といいます。
(1) 住居と就業の場所との間の往復
(2) 就業の場所から他の就業の場所への移動
ただし、この移動の間に通勤とは関係のない目的で経路を逸れる場合は、中断となるので、中断中に起きた災害は通勤災害とはなりません。
また、会社がチャーターしている通勤バスを利用したものや緊急用務のために休日に緊急出動する等のそれ自体が仕事である場合は、通勤災害ではなく業務上災害となります。
今回のバイクでの通勤は、特に回り道ではなく、会社への合理的な道順に沿った経路を通ってきたもので、また中断中の事故でなければ、通勤災害となります。
労災への請求はできますが、相手方のある事故の場合では、本来はそれぞれが相手方に対して、損害を賠償するのが第一ですので、すべての損害を相手方から受けた場合には、労災を請求する余地がないことがあります。一方で、相手方が保険に加入していなかったり、こちらの従業員の過失割合が大きくて、相手方からは補償が受けられない場合などでは、労災保険に請求することになります。
また、自損事故の場合も労災への請求です。
※ 相手方の保険から全ての給付がされる場合でも、特別支給金という上積み給付を請求することが出来ます。
□会社として処分
次に、会社としての対応ですが、労災の保険給付の有る無しとは切り離して考えることになります。
会社の就業規則で、マイカーやバイクでの通勤を禁止されていて、ルールを破ることが懲戒処分の対象となっている場合には、何らかの処分をすることは可能でしょう。ただし、例外を認めていたり、会社も知っていながら暗黙の了解がある場合には、処分の大きさによっては無効になるため注意が必要です。
会社によっては、マイカーやバイク通勤は許可制にされていますが、自動車保険に入っていることを規則とすることを、お勧めします。
通勤災害は、原則として会社責任ではありませんが、相手方がいる事故の場合で、従業員が自動車保険に入っていないことから相手方への賠償が出来なかった場合には、会社の責任が問われることがあるからです。
まずは事故を起こさないように、安全運転を従業員に喚起して、教育の機会を持つことも大切です。
ガルベラ・パートナーズでは、各種規定のコンサルティングを承っております。ぜひご相談ください。
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