GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|【要注意】在籍出向と労働者供給事業(違法行為)の危ない関係とは?

2017/06/28

Q、当社の社員を関連会社(取引先)に常駐させ、一定の仕事をさせたいと考えています。関連会社で仕事をする時間と当社で仕事をする時間は半々くらいの予定です。
業務委託契約や派遣契約なども検討しましたが、契約などを締結するのも煩雑ですので、両社の信頼関係のもと出向という名目で簡単に済ませたいと思っておりますが大丈夫でしょうか?

    働く人  

A、ご検討中の案は、職業安定法第44条により禁止される労働者供給事業に該当する可能性が高いと考えられます。自社に籍を残したまま、他社で労務提供をする「在籍出向」は利便性が高いのですが、安易に利用してしまいますと違法行為になりかねませんので注意が必要です。

 

解説(公開日:2017/06/28)

 

在籍出向とは

在籍出向とは、出向元と労働契約を維持しながら、出向先との間において新たな雇用関係が発生させ、それに基づき労務提供を行うという形態です。

出向元と出向先の二重の雇用関係があるため、使用者としての責任を分担することになり、その取り決めとして出向契約が締結されるのが一般的です。

 

在籍出向が違法になる線引きは?

他方で、労務の世界には、労働者供給事業(職業安定法第44条違反)という違法形態が存在します。労働者供給とは、「自己が管理・統制する労働者を、他人の指揮・命令の下で就労させること」を指し、過去の歴史においては、「タコ部屋」「人貸し」といった搾取や強制労働の温床となっていたという経緯があります。

外見上は、在籍型出向に近しいので紛らわしいのですが、その線引きは、行政解釈によりますと次のようになっております。

 

(平成20年2月29日 厚生労働省 職業安定局
今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」資料より)

 

在籍型出向が、業として行われる場合には、労働者供給事業に該当する。

「業として行われる」というのは、そういうビジネス的なものとして反復継続的に遂行することを指すものとお考えいただければ結構かと思います。

 

ただし、在籍型出向のうち、次のような目的を有しているものについては、出向が行為として形式的に繰り返し行われたとしても、社会通念上業として行われていると判断し得るものは少ないと解釈されます。

  1. (1)労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保する
  2. (2)経営指導、技術指導の実施
  3. (3)職業能力開発の一環として行う
  4. (4)企業グループ内の人事交流の一環として行う
 

一般的には、企業グループ内の人事異動としての(4)であったり、関連子会社等へ指導としての(2)であったり、金融機関等の人事慣行として見られる(1)のような形態が多いのではないでしょうか。

 

自社の社員を他社で適法に働かせるためには?

前述のとおり、在籍出向を拡大して運用すると、違法形態になるリスクが高いことから、一般的には次のような適法形態がとられます。

 

(1)自社と他社との「労働者派遣契約」

自社の労働者を派遣労働者として、他社に派遣します。

労働者派遣法の枠内で行いますので、コンプライアンス違反の懸念は少ないです。労働者派遣事業の許可が必要です。

 

(2)自社と他社での「業務委託契約」(一定のアウトソーシング契約)

他社の事業場内で、一定の業務委託を受け、自社の社員が業務遂行します。法人間の適法な契約であれば、コンプライアンス違反はないのですが、業務委託ですので、他社からの指揮命令はできません。

業務委託契約にもかかわらず、労働契約類似の指揮命令があると「偽装請負」になり、違法行為となります。

 

(3)自社から他社への「転籍」

派遣や業務委託はあくまで一時的なものです。長期継続的に業務遂行するとすれば、最終的な解決としては転籍ということになります。労働条件の協議や転籍労働者の同意が必要になるのは言うまでもありません。

 

労務コンプライアンスの時代です

労働法規制が年々強まる中、企業として労働者を抱えることがリスクになってきている状況があります。そうした状況で、出向という名目で、安易な労働者の貸し借りが行われる場面も散見される状況です。

これは、一見スマートで実務的な便法に見える場合もあるのですが、その実態は、前近代的な違法行為になる可能性があるという点で紙一重な行為になります。企業経営において、コンプライアンスが全てではないとはいえ、それを無視するような経営は立ちゆかなくなっているのが現状です。

 

あらためて、自社の労務管理にグレーゾーンがないか、ご確認いただければと思います。

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