2014/08/11
Q 会社が自社の役員や社員の横領等によって被害を受けたとしても、その被害額は会社の損失として認められないばかりか、横領が法人の仮装隠ぺい行為と認定され税務調査で重加算税が課せられるというのは本当ですか?
A 横領は、会社のうかがい知れないところで行われるケースが多いですが、こうした場合でも税務当局は「法人の行為」と認定することが多く、場合によっては重加算税が課せられることがあります。
先日も、大手建設会社の従業員が自らが実質的に経営する下請け会社に架空発注を繰り返して捻出した6千万円を私的なマンションの建設費に充てていたとのニュースが報じられましたが、このケースでも会社に重加算税が課せられています。
法人にとっては横領された金額は「損失」であり、損金に算入されることになりますが、同時に会社は当該損失について横領した従業員等への「求償権(損害賠償請求権)」があることから両者は相殺され課税所得は減少しないというのが税務当局のスタンスだからです。
もっとも、横領した従業員等に対し求償権があるといっても横領された額全額を回収できないケースも少なくないのが現実でしょう。
このように横領事件が発生した場合には、会社には横領による実損失が生じるうえに重加算税も課されるというとんでもない事態に発展する可能性があります。会社として従業員等の教育や横領防止に全力を注ぐ必要があると言えるでしょう。