GERBERA PARTNERSブログ

外国人雇用|外国人を実習生として受け入れる場合の留意点

2014/09/02

Q 普通に外国人を雇用するのではなく、技能実習生として働いてもらう方法があると聞きました。外国人技能実習生の制度って、どのような内容なのでしょうか?

 

A 日本で外国人を採用する場合、大きく分けて2種類の方法があります。1つは、海外の工科大学や文系大学の日本語学科を卒業した人が、日本の就労ビザを取得して日本で働く方法です。ビザは要件に合致すれば発行されるとは言うものの、技術系は学んだ学科が、実際に従事する業務とマッチするかを問われるため、入国管理局へ提出する資料の質が問われます。そういう意味では、入管申請専門の行政書士に依頼したほうがいい場合もあります。

 

 もう1つは、ご質問にある外国人研修生・技能実習生の制度を利用する方法です。この制度は、日本が発展途上国と約定し、研修生・技能実習生として受け入れるものです。「研修生」は雇用関係に基づかない非実務研修が主たる目的なので、本稿では省略し、「技能実習生」にしぼって解説します。

 

 技能実習生は、1年目は技能研修を目的に「技能実習1号」として受け入れ、2年目と3年目は技能習熟を目的に「技能実習2号」として受け入れ、実務経験を積んでもらいます。最長でも3年後には出身国に戻り、日本で培ったノウハウを活かして現地で同じ職種に就いてその国の発展を担う、というのが前提となっています。

 

 発展途上国の人は、日本などの先進国で働くことにより、現地で働く場合の何倍ものサラリーを手にすることができたりします。そのため、発展途上国の多くの若者が日本のような先進国を目指します。送り出す国の制度に応じて、現地で数ヶ月間の研修が必要だったりしますが、そのコストは本人が負担したり、あるいは送り出し機関が貸し出して、日本に行ったあと、給料から返してもらうという方法を選択したりします。

 

 技能実習生の受け入れの方法は2種類に分かれ、一つは企業単独型といって、企業が単独で現地法人から実習生を受け入れるという方法で、実習生と企業との間に介在する中間業者が少ないこともあって比較的容易ですが、現地進出または取引のある関係先の存在がネックとなり、少数派となっています。

 

 もう一つは、団体監理型と呼ばれる、受け入れ側において事業協同組合が媒介する方法で、中小企業の場合は大半がこの方法を採用しています。以下はこの団体管理型について解説してまいります。

 

 企業の規模によって受け入れられる外国人実習生の人数が異なり、たとえば50人以下の企業であれば、1年間に3人までしか受け入れられません。しかし受け入れ期間は最長3年間なので、毎年3人ずつであれば、合計9人まで受け入れることが可能です。(ただし、企業ごとの受け入れ人数については他にも要件があります。)

 

 研修生と違って、技能実習生に対しては最低賃金法が適用されます。家賃や社会保険などを控除されるため、手取りベースでは10万円台の前半くらいになってしまいます。もちろん残業すればするほど給料は増えるので、残業のある会社を好む傾向にあります。

 

 この他、労災保険には加入することになりますので、業務上の事故等に関しては労災保険で補償されます。現場で勤務することが多いので、この点は安心です。また、渡航費用などもきちんと確認しておいた方がいいと思います。途中で帰国した場合などの取り決めや、年単位での更新をしないケースもあるかと思いますので、詳細を事前に取り決めておくべきでしょう。

 

 企業の負担は、イニシャルコストとしては紹介手数料や受け入れ機関(事業協同組合)への手数料があり、ランニングコストとしては協同組合やJITCO(国際研修協力機構)に支払う手数料が発生します。それでも、企業の負担は全部合わせても3年間の受け入れ期間でおしなべて計算すると、毎月20万円程度の負担で済むこともあり、外国人労働力を活用するメリットは大きいと考えます。中小企業でも、実習制度を学び、積極的に取り入れてもいいのではないかと思われます。

 

 また、外国人技能実習生は必ず3年後には出身国に帰らなければなりませんが、日本企業側は彼らが国に帰ったあともコンタクトを取り続け、海外展開をする際に彼らが助けてくれたりもします。

 

 実習生を受け入れられる業種は、建設、介護、製造、農業など多岐にわたります。実習生の受け入れは、人材不足が急激に進む日本の労働市場において、急務であると考えます。ぜひ受け入れを検討いただければと思います。