2017/08/23
A、平成29年4月1日の申請より「東京都正規雇用転換促進助成金」の支給要件及び申請様式が変更(厳格化)されました。具体的には、時間外労働に関するコンプライアンスが審査基準になっておりますので、いわゆる「残業グレー企業」の締め出しが行われ、そうした企業の申請は難しくなっております。
東京都内の事業所にとっては、厚生労働省のキャリアアップ助成金(正社員コース)に簡単に上乗せ(50万円)できて、実質的な審査ハードルが低いということで、人気の助成金でした。しかしながら、近年の労務コンプライアンス(特に時間外労働の規制)の流れを受けて、平成29年度より大幅に厳格化されております。
▶TOKYOはたらくネット(東京都HP 支給要件及び申請様式の変更について)
変更点は下記のとおりです。特に、様式第3号の誓約書が要注意です。安易にチェックをして事実と異なる申告を行いますと、不正受給となり返還請求の対象となります。
労働条件通知書の法定事項に漏れがないこと。
さらに、固定残業代の金額と時間数が明示されていること。
固定残業代の単価が法令に違反していないこと。
さらに、固定残業時間を超えて残業を行った場合は、その超過分について差額残業代を支給する定めになっており、実際に支給していること。
事業所の全労働者について、36協定に違反していないこと。(特別条項の厳守も含めての運用です。)
違反している場合は、協定期間中は申請できないことになります。
事業所の全労働者について、申請日を起点にして、過去6か月の平均残業時間が月80時間を超える者がいないこと。
労働条件通知書と照らし合わせて、勤務場所や業務内容が不明確でないこと。
特に注意として、東京都の助成金ですので、実質的に東京都外の事業所で勤務している労働者の申請はできません。異動や出向の状況が不明確な場合は、証明書類を求められる場合があります。
この助成金に限らず、全般的に労務コンプライアンス厳守の傾向が強まっており、特に残業の取扱いがグレーな企業(残業グレー企業)については、申請が難しくなっています。
例えば、キャリアアップ助成金については、提出されたタイムカードや賃金台帳に対して、電卓レベルで専門にチェックする審査官がいるとのことです。
残業単価の計算に誤りがあったり、合理的に説明ができない運用を行っているなど、未払残業が発生している疑いがある企業については審査でNGになる事例も増えているようです。
そうした審査厳格化の影響もあり、受理から審査、そして支給決定までの時間も6か月以上かかっているのが昨今の現状です。安易に外注業者を使い、申請書だけ形式的に整えて、助成金をゲットするという姿勢は、極めてリスクの高い状況になっておりますので、ご注意いただければと思います。
逆に申し上げますと、労働基準法のポイントを外さないように、適正かつ明確に残業の処理をしている企業にとってみれば、何ら後ろ暗いこともないわけですので、そうした企業こそ積極的に助成金を活用するチャンスとも言えます。
弊社では、助成金活用の準備段階となる、労務コンプライアンスや就業規則の整備等のコンサルティングを行っております。
グレーになりやすい労務管理を適正化し、心配なく経営に専念できる体制を構築しようというコンプライアンス企業様が増えております。そうした企業様については、管理コストもかさみやすくなりますので、助成金は大いに助けにもなろうかと思います。
弊社では、中小企業様から上場準備企業様など、労務コンプライアンス対策の多数の支援事例がございます。ご質問などございましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にお問合せください。
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