2014/11/11
Q 当社では、外勤の営業職に事業場外労働のみなし制を適用しております。就業規則と勤務実態が合わなくなってきており、改定を検討しておりますが、労基法の表現があいまいで、どこで線引きをすべきか分かりにくく感じています。
A 労基法38条の2で規定されている事業場外労働のみなし制は、解釈に委ねられる部分が多く、分かりにくい規定になっておりますので、大まかに整理してみたいと思います。
原則として、外勤の営業職のように、労働時間を算定し難い仕事のみに適用されるものですが、労働時間の算定について、労基法の規定を整理すると以下の3パターンとなります。
(1) 所定労働時間働いたとみなす(38条の2第1項)
(2) 通常必要な時間働いたとみなす(同ただし書き)
(3) 労使協定で定めた時間働いたとみなす(38条の2第2項)
現実的には、事業場内と事業場外の労働が混在するパターンが多くなりますので、その場合の兼ね合いも考えなくてはなりません。(1)のパターンでは、内外の勤務を一括して労働時間を考えますが、(2)と(3)のパターンでは事業場外で業務に従事した部分のみを対象とします(昭63・3・14基発150号)
また最近の最高裁判決(いわゆる「阪急トラベルサポート事件」)でみなし制の運用に厳しい判断が出たことから、安易なみなし制の運用は労務リスクが大きいと思われます。自社の勤務パターンを整理したうえで、専門家と相談しながら就業規則を整備することをお勧めします。