2017/12/27
A、インターンシップといっても実態として労働者に該当する場合は、労働基準法の規制がかかりますので、「労働契約書の交付」「打刻管理」「給与の支払い」「最低賃金」「時間外労働規制」「労働者名簿、出勤簿、賃金台帳」等、通常のアルバイト労働者と同等の取扱いが必要です。
一般にインターンシップにおいての実習が見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条の労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益•効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる。この場合の判断は、個々の実態に即して行う必要がある。
以上の基準により労働者として認められた場合は、インターンシップであることを理由とした労働基準法上の特例はありません。
企業の現場では、時給の支払いのみ口約束して、いつの間にか職場に入り込んでいるケースが多いのですが、労働契約書(労働条件通知書)の交付が必要ですし、タイムカードの打刻も必要です。インターンシップ専用のものを用意する必要はありませんので、既存の社員用のフォーマットを加工したり、システムを流用する対応で十分かと思います。
学校教育法第1条にいう学校の学生生徒で昼間学生である者は、加入を要しませんが、卒業見込証明書を有する者であって卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一の事業主に勤務することが予定され一般労働者と同様に勤務し得ると認められる場合は被保険者となりますのでご注ください。
また、1条校には入らない「通信教育」「夜間」「定時制」の学生は被保険者となります。
※学校教育法第1条
この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
インターンシップ学生であることによる特別の取扱いはありません。勤務実態が「常用労働者」に該当するようであれば加入が必要となります。(いわゆる「正社員の所定労働時間の2/3以上」要件で判断されます。)
上記のとおり、実態として労働者として勤務している場合は、労災保険が適用されることに問題はないかと思います。(労働保険の算定対象の賃金総額に参入して労働保険料を納付することが大前提です。)
ただし、きわめて短期間かつ臨時的な就労であるとか、労働契約書が交付されていない等、労働者としての実態が不明確な場合、万が一のリスクがあります。
労災が発生した場合、会社から労働基準監督署労災課に申請することになりますが、この審査において、使用関係が不明確等の理由で、労災申請が却下される可能があります。
そうなりますと、会社の管理責任の観点から、治療費の全額を会社が負担せざるをえないような展開も十分予想されますので、下記のような保険対応も検討する必要があろうかと思います。
会社体験等を目的とした無償インターンシップの場合で、大学等を経由する場合については、原則として大学側で公益法人系の保険に加入させているケースがほとんどです。
大学を経由せずに学生が任意に参加するものについては、「大学生協等で個人保険に加入することをインターンシップの参加条件とする」という取扱いが一般的かと思われます。
その際には、企業側がインターンシップで不慮のリスクを負わないように、インターンシップ学生に誓約書を記入させるのが一般的と思われます。
『私は、研修開始前に研修中の災害、事故その他の事由による損害の補償に対応した災害傷害保険および賠償責任保険に加入し、研修中の災害、事故その他の事由による損害は、当該保険により補償を受けるべきことについて了解しております。』
企業人事部におかれましても、採用や入社前研修等で忙しくなってくる季節かと思います。インターンシップについては、労務コンプライアンスの盲点になりやすい論点です。ご不明の点がございましたら、ぜひ社会保険労務士までお問い合わせください。
弊社では、実務的な観点から、人事労務を含め内部統制の整備をご支援させていただいております。社内規程や管理体制の整備でお悩みの場合は、お気軽に下記問い合わせフォームよりお申し付けください。
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