GERBERA PARTNERSブログ

法人税|教えて!貸倒引当金

2015/07/09

Q 簿記で貸倒引当金のことは勉強しましたが、税務上の取扱いのことがよくわかりません。教えてください。

 

A ご存じのとおり、貸倒引当金は、売掛金や貸付金等の金銭債権等で取立不能のおそれがある場合に、その取立不能見込額を経費として計上される引当金です。

 

 企業会計上では取立不能のおそれがある場合、貸倒引当金を計上しなければなりません。この場合、債権を①一般債権、②貸倒懸念債権、③破産更生債権等の3つに区分し、その区分に応じた方法で取立不能見込額を算定することになります。

 

 貸倒引当金繰入額は企業会計上の費用とされます。(貸倒引当金戻入は収入扱い)しかし、税務上はその繰入額の全額が経費として認められるわけではないのです。

 

【貸倒引当金限度額】

 

 税務上の貸倒引当金の繰入限度額は、①個別評価金銭債権と②一括評価金銭債権に区分して計算します。

 

(1)個別評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額は、債務者に生じた事由に応じて債務者ごとに取立不能見込額を計算します。

 

(更生計画や再生計画が決定したもの等)

対象金銭債権から事由発生年度末から5年以内の弁済見込額と取立見込額を控除した額

 

(債務超過の状態がおおむね1年以上超過し、かつ事業が好転する見通しがない等により、一部回収の見込みがない場合)

対象金銭債権から取立見込額を控除した額

 

(更生手続き、再生手続き等の開始申立したもの等)

対象金銭債権から実質的に債権と認められない額と取立見込額を控除した額の50%

 

これに対して

 

(2)一括評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額は、事業年度末の一括評価金銭債権に貸倒実績率を乗じ、対象となる債権について一括して計算します。

 

対象となる債権は、個別評価金銭債権と比べて限定的です。

・売掛金、貸付金

・未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で益金の額に算入されたもの

・他人のために立替払をした場合の立替金(※近い将来で精算される一時的なものを除きます。)

・未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの

・保証債務を履行した場合の求償権

・売掛金、貸付金などの債権について取得した受取手形

・売掛金、貸付金などの債権について取得した先日付小切手のうち法人が一括評価金銭債権に含めたもの

・延払基準を適用している場合の割賦未収金等

・売買があったものとされる法人税法上のリース取引のリース料のうち、支払期日の到来していないもの

・工事進行基準を適用している場合の当該工事の目的物を引き渡す前の工事未収金(平成20年4月1日以後に開始する事業年度)

 

 一括評価金銭債権の繰入限度額は、事業年度末の一括評価金銭債権に貸倒実績率を乗じ、対象となる債権について一括して計算します。

 

資本金1億円以下の中小法人等では貸倒実績率に代えて、法定の繰入率により計算することが認められています。

【中小法人の法定繰入率】

(卸売・小売業)10/1,000  

(製造業) 8/1,000

(金融・保険業)3/1000   

(割賦小売業)13/1,000

(その他の事業)6/1,000

 

 いかがでしょうか。このように、会計上と税務上で認められる限度額が異なっております。

 

 実際、何をどれだけどのように評価すべきかの判断は難しいかと思いますので、是非お気軽にご相談ください。


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