GERBERA PARTNERSブログ

所得税,法人税|中小企業向け「賃上げ促進税制」の強化について

2024/11/05

Q、中小企業が賃上げを実施した場合の税制優遇措置について教えてください。

A、令和6年度税制改正により中小企業向け「賃上げ促進税制」が強化されました。制度の対象期間であるR6.4.1~R9.3.31までの間に開始する事業年度(個人事業主の場合はR7~R9年の各年)の賃上げや教育訓練について計画を立てましょう。

 

解説(公開日:2024/11/05)

   

賃上げを実現した中小企業への税制優遇を抜本拡充

厚生労働省が10月28日に発表した2024年の賃金引き上げ実態調査によると、1人当たりの月額所定内賃金の全産業平均引き上げ額は11,961円(前年9,437円)、増加率は4.1%(前年3.2%)となっており、春闘での賃上げや最低賃金の引き上げが影響し、賃上げの動きが活発化しています。

 

また、中小企業では、企業の業績改善が見込めない状況下でも、従業員の流出を防ぎ、新たな人材を確保するために実施する「防衛的賃上げ」の動きも見られ、特に企業規模が小さいほど、防衛的賃上げを実施する傾向が強いと言われています。

 

賃上げを後押しするため、令和6年度税制改正により「賃上げ促進税制」が強化されました。今回は、中小企業向け「賃上げ促進税制」について解説します。

 

中小企業向け賃上げ促進税制は、中小企業者等又は青色申告書を提出する常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主が、前年度より給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

適用要件 税額控除
必要要件 雇用者給与等支給額が前年度と比べて、
  1. 1.5%以上増加していること
  2. 又は
  3. 2.5%以上増加していること
控除対象雇用者給与等支給増加額の
  1. 15%
  2. 又は
  3. 30%
を法人税額又は所得税額から控除
上乗せ要件 ① 教育訓練費の額が前年度と比べて、5%以上増加していること
適用事業年度の教育訓練費の額が適用事業年度の雇用者給与等支給額0.05%以上であること
税額控除率10%上乗せ
上乗せ要件 ②
(新設)
適用事業年度中にくるみん認定くるみんプラス認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を取得したこと、又は適用事業年度終了の時において、プラチナくるみん認定プラチナくるみんプラス認定若しくはプラチナえるぼし認定を取得していること 税額控除率を5%上乗せ

(出典:中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック(経済産業省:PDF))

 

令和6年度税制改正による強化の概要は次のとおりです。

 

① 繰越控除制度の創設

賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越しが可能となりました。これにより、赤字法人等においても、賃上げ促進税制が活用可能となります。

 

② 税制の措置期間の延長

企業が予見可能性をもって賃上げを計画できるよう、税制の措置期間を従来の2年間から、3年間に拡充されました。R6.4.1~R9.3.31までの間に開始する事業年度が対象です。個人事業主については、R7年~R9年の各年が対象です。

 

③ 賃上げなどに対するインセンティブの強化

教育訓練費を増加させた場合の上乗せでの税額控除について、適用要件が緩和されました。さらに、仕事と子育てとの両立支援(くるみん認定)、女性活躍支援(えるぼし認定)に積極的に取り組む企業への新たな上乗せ制度として、税額控除率を5%上乗せする措置が創設されました。

 

対象となる教育訓練費の範囲は次のとおりです。

(1)法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)

  1. ① 法人等がその国内雇用者に対して、外部から講師又は指導員(以下「外部講師等」)を招聘し、講義・指導等の教育訓練等を自ら行う費用であること。
  2. ② 外部講師等に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類する費用であること。
  3. ③ 法人等がその国内雇用者に対して、施設、設備その他資産(以下「施設等」)を賃借又は使用して、教育訓練等を自ら行う費用であること。
  4. ④ 施設・備品・コンテンツ等の賃借又は使用に要する費用であること。
  5. ⑤ 教育訓練等に関する計画又は内容の作成について、外部の専門知識を有する者に委託する費用であること。
 

(2)他の者に委託して当該国内雇用者に対して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)

  1. ① 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者に委託して教育訓練等を行わせる費用であること。
  2. ② 教育訓練等のために他の者に対して支払う費用(講師の人件費、施設使用料等の委託費用)であること。
 

(3)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)

  1. ① 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者が行う教育訓練等に当該国内雇用者を参加させる費用であること。
  2. ② 他の者が行う教育訓練等に対する対価として当該他の者に支払う授業料、受講料、受験手数料その他の費用であること。
 

中小企業向け「賃上げ促進税制」をうまく活用できるよう、対象期間であるR6.4.1~R9.3.31までの間に開始する事業年度(個人事業主の場合はR7年~R9年の各年)の賃上げや教育訓練について計画を立てましょう。

   

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