2016/05/16
Q 移転価格文書について平成28年の税制改正で大幅に変更になったと聞きましたが内容を注意点を交えてを教えてください。
A 今回平成28年の税制改正で移転文書制度については、下記の2点の改正が入りましたので関係する法人については注意してください。
1.ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)については、作成と保存が義務付けられることになりました。
ただし、一の国外関連者との間で行った前事業年度の取引の受払合計額が50億円未満で、かつ、一の国外関連者との間で行った前事業年度の無形資産取引(知的財産権の譲渡、貸付など)の受払合計額が3億円未満である場合には、ローカルファイルの作成、保存義務は免除されます。
一方で、上記の免除になった法人だとしても、独立企業間価格を算定するために重要と認められる書類については、調査官から提示を求められた場合には、60日以内に書類を提出しなければ、調査官は推定課税をすることができると定められています。
そのため、結果的にこのローカルファイルの作成、保存義務については、免除になる法人であったとしても、一定の重要な書類は、作成と保存の義務が実質的にあることになります。この点は、注意が必要です。
2.マスターファイル(事業概況報告事項)と国別報告事項(国別報告書)の作成と提出が義務化されました。
この制度は、適用開始時期は、平成28年度からになります。そのため3月決算の法人の場合には、平成29年3月期からになります。
また、作成要件は、直前会計年度の連結総収入金額が、1,000億円以上の会社であり、海外に進出している多国籍企業がその義務を負うことになります。
マスターファイルと国別報告事項の違いは、マスターファイルは、日本語または英語で提出可能ですが、国別報告事項については、英語のみの提出となります。
両者ともに、期限内に提出しなければ30万円の罰金があるためこの点も注意が必要です。
このように国際課税は毎年めまぐるしく改正が入ります。さらに国際課税は緩和されることは今後ないと考えられています。一つ一つの縛りがきつくなるとと同時に上記のようなファイルの作成が義務付けられる法人が今後増えていくことは間違いありません。
国外に関連法人を有する法人は今後の税制改正を常に把握していくことは必要不可欠です。ガルベラ・パートナーズグループでは、アジア・アメリカを中心に国際課税のアドバイス、節税方法をご案内しています。不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。
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