Q 我が社は海外進出を検討しているですが、進出国を選定するにあたって租税条約を締結している国・地域とそうでない国・地域では税負担に違いがあると聞きました。いったい租税条約とはどういうものでしょうか?
A ここ数年、香港やケイマン諸島、ハバマ、バミューダなどの軽課税国と条約を締結したことがクローズアップされています。また、台湾との間には今年1月1日より日台租税協定が運用されています。
一口に租税条約といっても大きく3つに分けられます。
(1)租税に関する情報交換を主たる目的とする条約(情報交換協定)
(2)税務行政執行共助条約
(3)二重課税の回避・脱税及び租税回避等への対応を主たる内容とする条約(租税条約又は包括的租税条約)
(3)は狭義の租税条約と位置づけられます。ここでは、二重課税回避・脱税及び租税回避等への対応を主たる内容とする条約を中心に話を進めていきます。
二国間の取引で、租税条約の規定と現地国・地域の税法の規定が異なる場合、租税条約の規定が優先されることになっています。
一方で租税条約を適用することで、納税者にとって不利になるケースでは現地国・地域の税法を適用することが出来ます。これは租税条約が現地の税法に定める租税の減免措置を制限できないという原則(プリサベーション・クローズ)によるものです。
つまりは、租税条約が存在することで納税者が不利になることは無いということが言えます。
では具体例を見ていきましょう。日本と台湾の間では今まで租税条約は締結されていませんでしたが、上記のとおり日台租税条約が締結され、本年1月1日より運用されています。
台湾から日本へ利子が支払われる場合、今までは台湾の税法に従って20%の源泉徴収がなされていました。しかし、租税条約運用後は租税条約の規定に基づき、10%の源泉徴収に軽減されることになりました。
また日本企業の従業員が台湾へ出張する場合、台湾の税法により滞在期間が90日を超えると台湾の個人所得税の申告・納税義務が発生していましたが、租税条約運用後は租税条約の基本規定である短期滞在者免税により滞在期間が183日で一定の場合は台湾の個人所得税の申告・納税義務は免除されるようになりました。
このように租税条約が締結されている国や地域へ進出した方が税務コストが抑えられる傾向にあるということがいえます。
今後数回に分けて、租税条約についてご説明させていただこうと思います。
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