2019/12/09
まず初めに、簡易課税制度とは、一定の要件により、消費税の原則的な計算(課税売上に係る消費税から仕入れにかかる消費税を控除する方法)に代えて業種別に定めたみなし仕入率(90%~40%)により簡易的に仕入税額を控除する計算方法です(消費税法第37条)。
みなし仕入率は平成26年度改正によりそれまでの5業種の区分から6業種の区分に見直されました。
飲食店における売り上げは簡易課税制度の業種区分上、基本的には第4種事業に該当します。しかし、店内飲食売上、店頭販売(テイクアウト)売上や宅配売上など、売上の種類や売り上げたものにより第4種事業以外に該当することがあるため、経営する飲食店においてどのような売上が発生するのか調理したものを売るのかにより注意すべきことが異なってきます。
まず、飲食店の事業区分を行う際に最も重要なことは、店舗に飲食スペースがあり、かつ店内飲食を行ったかどうかです。店内飲食による売上は、第4種事業に該当し、この場合は、店内調理をしたものを提供しているか仕入れたものを提供しているかは関係ありません。また、同店舗が店内調理をしたものを宅配した場合の売上についても第4種事業となります。宅配売上は店内における飲食サービスの延長線上にあるものと考える必要があります
しかし、店内に飲食スペースはあるものの店頭販売(テイクアウト)をした場合には、第1~3種事業に該当します。店内に調理設備があり、店内調理しているものの売上は第3種事業(製造業等の区分)となり、仕入れたものをそのまま販売することによる売上は第1種事業(販売先が事業者)又は第2種事業(販売先が消費者)となります。
また、宅配ピザ、弁当屋やキッチンカーなどの店舗に飲食スペースがなく、調理設備のみを有している宅配や店頭販売(テイクアウト)を専門とする飲食店においては、店内に飲食スペースがある飲食店と売上の事業区分が異なる部分があります。
宅配ピザなどの店内で調理を行い飲食スペースのない店舗の宅配売上は第3種事業となり、飲食業ではなく製造業等の区分に分類されます。この宅配売上が飲食スペースを有する店舗の宅配売上と事業種区分が異なるところです。(消基通13-2-8の2)
稀な飲食店の形態ではあるかもしれませんが、飲食スペースがなく、仕入れたものをそのまま宅配したことによる売上は第1種事業(販売先が事業者)又は第2種事業(販売先が消費者)になります。
なお、飲食スペースがない店舗での店頭販売(テイクアウト)の場合は、飲食スペースがある店舗での取り扱いと異なる部分はありません。
これまでの説明に挙げた飲食店の売上について事業種区分をまとめると以下の表のようになり、飲食店における事業種区分の幅広いことが確認することが出来ます。
飲食スペースあり | 店内調理している | 店内飲食 | 第4種 |
宅配 | 第4種 | ||
テイクアウト | 第3種 | ||
店内調理していない (仕入れたものを提供) |
店内飲食 | 第4種 | |
テイクアウト | 第1種(事業者) 第2種(消費者) |
||
飲食スペースなし | 店内調理している | テイクアウト | 第3種 |
宅配 | 第3種 | ||
店内調理していない (仕入れたものを提供) |
宅配・テイクアウト | 第1種(事業者) 第2種(消費者) |
このように、飲食店を営む事業者が簡易課税制度を利用して、消費税額を計算する場合には、ご自身の店舗がどのような販売形態をとるかにより、第1種から第4種事業まで幅広く関係し、事業区分が難しくなる可能性もあります。
しかし、販売形態を限定し、事業種区分を絞ることにより作業量を少なくし、効率的になると思われます。
◆ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆
ガルベラ・パートナーズグループでは毎月1回、税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスを掲載したメールマガジンを配信しております。 加えて、メルマガ会員のみガルベラ・パートナーズグループセミナーに参加可能!
10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!