2016/05/26
Q 消費税率の複数税率導入の話題のなかで、インボイス方式の導入という言葉をよく聞きますが、通常の請求書と何が違うのでしょうか?
A 消費税率10%への増税は延期される可能性が濃厚ですね。しかし、日本の財政状況を考えると、近い将来、増税を受け入れるしかないのでしょうね。
現行の消費税法においては、仕入税額控除をうけるため(売上等で預かった消費税の額から仕入れ等で支払った消費税の額を差し引くため)には、課税仕入れの事実を記載した帳簿の保存に加えて、請求書、領収書、納品書など取引の事実を証する書類も併せて保存することとされています。(消費税法30条)
◇帳簿に記載すべき事項
・課税仕入れの相手方の氏名又は名称
・課税仕入れを行った年月日
・課税仕入れに係る資産又は役務の内容
・課税仕入れに係る支払対価の額
◇請求書等に記載される事項
・課税仕入れの相手方の氏名又は名称
・課税仕入れを行った年月日
・課税仕入れに係る資産又は役務の内容
・課税仕入れに係る支払対価の額
取式の相手方が課税仕入れの取引であることを客観的な証拠書類として発行し、それを帳簿とともに保存することを要件としています。
しかし、税率の表示や税額の表示までは求められていません。これが現行の請求書方式といわれるものです。
これに対してヨーロッパで採用されているインボイス方式というものは、課税事業者(消費税を納付している事業者)のみが発行できる書類で、その書類に記載されている税額のみを預かった消費税の額から控除できるという仕組みです。
ですので、インボイスには必ず適用税率と税額の記載が必要になります。免税事業者(消費税を納付しなくてよい事業者)はインボイスを発行することができませんので、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除ができないこととなります。このことから、課税事業者と免税事業者を区別するために、課税事業者には番号を付与してインボイスに記載させることを義務づけています。
一つの税率だけであれば、請求書等に税率や税額の記載がなくても税金の計算に大きな支障はありません。しかし、複数の税率がある場合にには、ひとつひとつ個別に判断する必要があるので、インボイス方式の採用が必要となってきます。
請求書保存方法とインボイス方法とは、書類の記載事項の内容だけでなく、税の集め方も異なりますので、免税事業者にとっては死活問題となります。
平成29年4月から区分記載請求書保存方式
平成33年4月からインボイス方式を採用
区分記載請求書保存方式は、これまでの請求書保存方式と踏襲するかたちですが、軽減税率対象資産にかかる取引であることを明記し、税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込)を記載することを求められています。
インボイス方式については、日本でどのように導入されるのか検討中ですのではっきりとしたことがわかりません。今後もしっかり動向を見守っていきたいと思います。
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