GERBERA PARTNERSブログ

所得税|日本居住者の日本人が受給する海外の給付金の課税可否検討について

2020/06/03

Q、私は2020年から日本の居住者ですが、昨年の年末までは米国に2年間在住しており、米国で働いた給料については米国で納税をしておりました。ただ、昨年中に米国で子供が産まれ、私の子供は現在も米国国籍と日本国籍の両方をもっております。そのせいか、今回米国政府から日本に帰国した我々にも新型コロナウイルス関係の給付金をいただける通知が届きました。 今回の日本の特別定額給付金(1人10万円支給)については所得税は非課税とハッキリと書いてあります(新型コロナ税特法第4条第1号)が、米国から受ける給付金の扱いはどうなるのでしょうか。

    A、結論から言えば、一時所得の可能性が高いと考えられます。米国からの給付金の取扱いについて、日本の法律では規定がどこにもないためです。         

解説(公開日:  最終更新日:

 

ご承知のとおり、日本の居住者が得た収入については、それがたとえ海外の収入であっても日本の税務当局に申告納税する義務があります(居住者は全世界所得課税)。

従いまして、この米国の給付金が日本ではどういった取扱いになるのかは、当然検討をする必要があります。ちなみに、今回のご質問者様は米国ではもう非居住者です。その非居住者に対して米国政府が支給する今回の給付金について、米国で税金がかかるのか、かからないのかは米国での法律によると考えられますので、米国関係者へお尋ねください。

 

所得税が非課税になるかどうかについてですが、所得税法や租税特別措置法(以下、措置法という)、そして税法以外で規定されている場合に限ります。つまり、条件が限定されているということです。これらに規定がされていない給付金等については、原則課税の扱いをしなければなりません。

 

所得税法では非課税項目が第9条で限定列挙されています。あとは措置法や税法以外の規定の中で非課税になると明記されています。巷でよく聞く「宝くじの当選金」は非課税という考えは、当せん金付証票法の第13条に規定されています(第13条 当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない)。

 

また、例えば「すまい給付金」については、非課税という考えが一般的なのでしょうが、実は原則一時所得の扱いになります。ただ、国庫補助金等の総収入金額不算入の特例を使うことで、「すまい給付金」については一時所得に含めないことができるという別規定での扱いになります。

 

今回の米国政府から受給する給付金については、そもそもの支給理由がいったい何なのか、米国でどういった法律に基づいて支給されるのかをもっと追究する必要があるのかと思いますが、所得税法第9条の非課税規定に今回の給付金について規定がありません。措置法では、第41条の8に「給付金等の非課税」について記載がありますが、これも都道府県、市町村又は特別区から給付される給付金と記載されています。

 

そうしますと、何らかの形で課税されるのと考えたほうが無難です。そこで問題になるのがどの所得区分になるのかです。所得区分としては、一時所得か雑所得、どちらかになります。

 
 

一時所得・・・一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます(具体例は所得税法基本通達34-1等に記載)。

 

雑所得・・・雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します(具体例は所得税法基本通達35-1等に記載)。

 
 

上記いずれかに該当するのかを慎重に検討する必要があるとは思いますが、性質からして今回の給付金は「一時所得」に該当する可能性が高いと考えられます。

 

※本見解についてはあくまで私見であり、当社としての見解を示すものではありません。本ブログから取得された情報の正確性や合法性、およびご利用に起因して生じた損失や損害につきまして、一切の責任を負いかねます。

       

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