2021/07/07
A、問題点や懸念点は多岐に渡ります。保険料を贈与して妻が払ったことにするのか、或いは、保険料はあなた(夫)が払ったことにして、毎年の生命保険料控除もあなたが適用を受けた場合、妻が年金を受け取る時に妻へ贈与税がかかるなど、意外に見落としやすい注意点が沢山あります。以下、詳細に説明します。
税務は実態を重視します。保険料を払ったのがあなた(夫)ですと、いくら契約者が妻名義であっても契約者はあなた(夫)という扱いをします。従いまして、このケースで年金受取人が妻の場合ですと、普段保険料を払っている時は、特に課税関係は起きずに、実際に妻が年金を受け取る場合に妻へ贈与税が課税されてしまいます。
妻が毎年毎年、年金を受け取るときに贈与税が課税されるのではなくて、年金開始時点で年金の権利評価額が贈与税の課税対象となってしまいます。そして妻が毎年毎年受け取る年金は雑所得で所得税の課税対象となります。
保険料はあなた(夫)が払っているので、もちろんあなた(夫)が所得税の確定申告で生命保険料控除の適用を受けることができるのですが、この生命保険料控除を適用しないから、妻への贈与税課税を回避したいといってもなかなかそうはいきません。
そこで、毎年その保険料相当額をあなた(夫)が妻へ贈与し、その妻が自身の管理口座から保険料を払うという手法が考えられます。しかしこれも慎重に進めていく必要があります。あなた(夫)が妻へ現金を手渡し贈与した場合は贈与したという痕跡が何も残らないため、きちんと保険料相当額を贈与したという客観的な証拠をつくるべきかと考えます。
最低限しておくべきこことして、例えば、贈与契約書を作成し、あなた(夫)から妻への贈与は必ずそれぞれの預金口座を通して贈与し、その妻の預金口座から保険料を払うことが考えられます。
他には、ケースバイケースではありますが、贈与契約についても公証役場で確定日付をもらう、或いはできるだけ贈与税非課税枠(110万円)を超える贈与を行い、贈与税の申告納付を行う、等の手法も考えられます。
当然、あなた(夫)が妻へ保険料相当額を贈与しているのですから、あなた(夫)は所得税の確定申告で生命保険料控除を適用してはいけません。
これらの事を十分に検討していく必要があります。後になって失敗に気が付いてももう手遅れですのでご注意ください。
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