GERBERA PARTNERSブログ

所得税|令和7年税制改正で「160万円の壁」誕生!勤労学生控除はどうなる?

2025/08/19

Q、令和7年税制改正で、最終的に160万円の壁となりました。とすると、勤労学生控除は実質意味がなくなったのではないですか?

     

A、結論から言えば、令和7年改正後の所得税においては、勤労学生控除はほぼ意味を失います。

 

解説(公開日:2025/08/19)

 

2025年(令和7年)の税制改正は、アルバイトをする学生やパートタイマーにとって非常に大きなインパクトをもたらしました。

これまで「103万円の壁」と呼ばれていた所得税の非課税ラインが、一気に「160万円の壁」に引き上げられました。

 

従来は、給与収入が年間103万円を超えると所得税がかかりました。

これは、基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計103万円までが非課税だったためです。

ところが、令和7年改正では、年収200万円以下の給与所得者に限り、基礎控除を95万円、給与所得控除を65万円と大幅に増額しました。その結果、合わせて160万円まで所得税がかからなくなりました。この制度変更により、例えば学生アルバイトでも年収160万円までは所得税が課されなくなります。

 

勤労学生控除は、勉学とアルバイトを両立している学生を対象に、所得税の計算時に27万円(住民税では26万円)を所得から控除する制度です。

これまでの制度では、基礎控除と給与所得控除の合計103万円に、さらに勤労学生控除を加えて年収130万円まで非課税となる仕組みでした。

 

令和7年改正では、この勤労学生控除の合計所得制限が75万円以下から85万円以下に引き上げられ、給与所得控除の最低額も55万円から65万円に増額。

そのため、勤労学生が控除を使える年収上限も130万円から150万円に拡大しました。

 

しかし、ここで重要なポイントがあります。そもそも今回の改正により、勤労学生かどうかにかかわらず年収160万円までは所得税がゼロになります。つまり、所得税の負担軽減という意味では、勤労学生控除はほとんど使う機会がなくなりました。

 

以前は、「103万円を超えても、勤労学生なら130万円までOK」というメリットがありましたが、改正後はこの仕組みが不要になります。これは、学生にとっては朗報ですが、制度そのものの存在意義は薄れることになります。

 

では、勤労学生控除は完全に不要になったのかと言えば、実はそうではありません。

 

住民税には、所得税のような「160万円の壁」は存在しません。

多くの自治体では、非課税の年収ラインはおおむね100万~110万円程度です。

このラインを超えると住民税がかかりますが、勤労学生控除(住民税控除額26万円)を使えば、この課税開始をさらに先延ばしできます。

 

そのため、アルバイト収入が110万円を少し超える程度であれば、勤労学生控除により住民税の負担がゼロ、または軽減される効果があります。

 

まとめ

令和7年税制改正によって誕生した「160万円の壁」は、所得税負担を大きく減らす画期的な改正です。しかしその裏で、勤労学生控除は所得税計算上ほとんど意味を持たなくなりました。これからは、その主な役割は「住民税の軽減」へと変わります。

 

学生アルバイトの方は、今後は「所得税」よりも「住民税」に注目しながら、働き方や年間収入を調整すると良いと考えます。

 

私たちの生活に身近な「年収の壁」は、制度改正によって想像以上に変わります。今回のように条件が変わった場合、自分にとって有利な働き方を選ぶために、情報を正しく理解することが大切です。

   

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