GERBERA PARTNERSブログ

税務調査|税務調査では、メールの内容も調査対象!?

2015/07/13

Q 税務調査では、会計帳簿や証憑などの会計資料以外にメールのやり取りなども閲覧対象になると聞きました。メールの内容は外部に出せない機密性の高い内容もありむやみに閲覧させたくないのですが、閲覧させないことなど可能なのでしょうか。

 

A メールの内容も税務調査の対象となりますが、こちらは国税通則法74条の2により「帳簿書類その他の物件」を検査したりその提示・提出を求めることができるとされています。

 

 これが、税務調査で税務当局がメールを閲覧できる根拠とされている以上、企業はメールの閲覧を完全に拒否することは難しいと考えられます。

 

 このような状況で納税者によっては、税務調査で問題になりそうなメールを削除する向きもありますが、調査官が削除されたメールの復元を試みることも珍しくないようで、サーバ等を調べられPC上でメールを削除したことが発覚するケースや、関係者にメールの削除を指示したところ、CCやBCC、転送などで拡散したメールの一部が残っていたことにより削除を指示していた事実が把握されることもあるようです。

 

 先のヤフー事件では裁判所の認定事実としてヤフー側のメールのやり取りが採用されたように近年の税務調査ではメールが否認の端緒となることが少なくないようです。

 

 さらに、メールの削除が発覚し、隠ぺい行為として重加算税を課されるケースは、項目別重課事例の上位にランクインするほどですので、ますます注意が必要です。

 

 とはいえ、企業側としてものべつまくなしにメールを閲覧させることもできない事情があるなどできれば閲覧を制限したい場合もあるかと思いますので、後は「どこまで見せるか」のせめぎ合いとなります。

 

 通常調査官はメールへのアクセスを求めてきますがその根拠とするのが、荒川民商事件の最高裁判決(昭和48年7月10日)の内容で、これは質問検査の範囲について「質問検査の必要があり、社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている」と判示した判決であり、調査官にしばしば引用されています。

 

 これに対し企業は「質問検査の必要があり」「社会通念上相当な限度にとどまる限り」という部分を取り上げ閲覧対象とするメールの範囲を制限するというのが多いパターンかと思います。

 

 取引先とNDA(秘密保持契約)を結んだ案件に係るものについては閲覧させるために取引先の了解を得る必要があり、税務調査のためとはいえ、いちいち取引先に了解を得るのは難しい事情もある場合には、調査官にもある程度は理解される可能性も有るのではないでしょうか。

 

 また、取引先以外でも内部告発メールなど告発の内容や告発者が秘匿されることが前提となるためメールを外部に開示すること自体が難しいケースなどもメール閲覧を制限する理由になりえるものと考えられます。

 

 いずれにせよ調査官にメールの閲覧を制限できるかどうかは正当な理由を示した上で「社会通念上相当な限度」について調査官と認識を合わせられるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

 

 メールの削除についても社内ルール等でメールサーバの容量を確保するため一定期間を過ぎたメールは削除するなど特定のメールを削除していないなどの理由があればメール削除が隠ぺい行為ととらえられない可能性もありますが、そもそも税務上、問題になりそうな論点についてはメールでのやり取りを控えるなどの注意が必要となるでしょう。

 

 そもそも調査官がメールの閲覧を要求してくるのも規模の大きい企業の場合がほとんどかもしれませんが、最近の税務調査は根拠資料が無いものは否認することができない傾向となってきていますので、根拠資料を集めるために中小企業においてもメールまで閲覧してくる可能性が全くないとも言い切れなくなってきています。これからはメールの内容についても用心するに越したことは無いようです。


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