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相続税|老人ホームに入居していても小規模宅地の特例を受けることができる!

2014/10/30

Q 父は老人ホームに入所し退所しないまま老人ホームで亡くなりました。老人ホーム入所前に居住していた自宅が空き家となっていますが、相続税の計算の特例を受けることができますか?

 

A 居住用に使用していた土地は相続税の計算をするうえで、財産の評価額を大幅に減額させる特例があります。これを小規模宅地等の特例といいます。この適用を受けることができる土地は、相続開始の直前の対象の土地が、被相続人の居住のために使用されていたものでなければなりません。

             

 今回のご相談のように、お父様がご自宅を離れて老人ホームに入所したような場合には、生活の拠点も老人ホームに移転されたと見ることもできますが、介護が必要なために老人ホームに入所したけれども、本人は自宅に戻ることを希望している場合もあり、病気治療にために病院に入院している場合と同じと考えることができます。

                                        

 そこで、被相続人(今回のケースで言えばお父様)が自宅を離れて老人ホームに入所していた場合でも、次に掲げる状況が客観的に認められる場合には、被相続人が居住のために使用していた土地として特例を受けることができます。

 

(1)被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。

(2)被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。

(3)入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。

(4)その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

 

  しかし、2013年の税制改正では、(2)(4)の基準がなくなりました。また(1)については「介護保険法に規定する要介護認定等を受けていた者が老人福祉法に規定する老人ホームに入所していた」という場合に改正されています。つまり、「介護を受けるために入所したという事由」は問われない形へ改正されました。

 

  ちなみに、被相続人が要介護認定等を受けていたか否かは、あくまで相続開始直前で判定するため、元気な状態で老人ホームへ入所した場合でも、相続開始直前に要介護認定等を受けておりさえすれば、小規模宅地等の特例の対象になります。

 

  最後に(3)についてですが、被相続人の居住の用に供されなくなった後に、あらたにその宅地等を「①事業(貸付)の用」、「②被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族以外の者の居住の用」、に供した場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできないこととされています。

 

 小規模宅地の特例は、注意しなければならないことがたくさんありますので、ぜひ一度ご相談ください。