2015/05/25
Q 最近「事業承継」という言葉を耳にすることが良くありますが、事業承継のときに自社株式を取得するケースがあると思いますが、そのメリットや注意すべき点について教えてください。
A 事業承継のタイミングで自社株式を取得するメリットの一つは、株式の分散防止です。オーナーの株式、その他の少数株主の株式を会社で買取る場合には、他の個人株主に売却するよりも株主数が多くなることもありませんし、オーナー一族の安定的な経営の基盤ともなりえます。
また、法人で株式を引受けた場合には、現金が法人から個人株主に支出されますので、新たに現金支出をお願いする個人株主を探す必要がありませんので、比較的手続きのみで容易に行えます。
手続き面のお話では、会社法上自己株式の取得をする場合には、株主総会の特別決議(議決権のある株主の過半数以上が出席しかつ3分の2以上の賛成)が必要となりますので、議事録は備えておく必要があります。
事業承継を行う際に注意しなくてはいけないことは、自己株式を取得した際に、既存株主の株価評価が必然的に上がると同時に、議決権比率にも変動があるという点です。
会社が保有している株式には価値がありませんので、株価については、自己株式を除いた既存株主の保有株式数により株価が計算されますので注意が必要です。
更に、自己株式については議決権がありませんので、会社法上はそれぞれの株主の議決権比率を意識しながら進めて頂く必要があります。例えば、株主の権利の一つである「会社解散請求権」は議決権の10%以上保有する株主にのみ認められた権利ですが、自己株式を取得することによりそれぞれの株主の議決権比率が高まりますので、自己株式を取得した後で、議決権比率が10%以上になった場合には、その権利を得ることになります。
最後に、税法上の注意点としましては、自己株式を買取る際に、自社の一株当たりの資本金等の額(税法上の資本金の金額)を上回る金額で自社株式を買取った場合には、その超えた部分の金額は、株主に対する配当と同じ(税法上、「みなし配当」と呼びます。)という取扱いがあります。
税法上の配当になった場合には、源泉所得税を徴収して国に納付する義務を会社が負うことになりますので、この点は十分注意が必要です。
弊社では、事業承継担当税理士がこのような細かい税法・会社法を組み合わせたご提案を全国でさせて頂いております。お悩みの方はガルベラ・パートナーズ東京事務所(03-5405-2815)までご相談ください。
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