2015/03/02
Q 不動産管理会社を作って節税しているという話をよく聞きます。不動産管理会社とは何ですか?本当に節税になるのですか?
A 不動産を多数保有する不動産オーナーの方は、アパートやマンション等の賃貸物件を所有して収益性を高めておられます。しかし、不動産の収益性が高まれば高まるほど、多額の所得税や住民税にお悩みのようです。また、固定資産税や将来の相続税についても心配されています。
そこで、納税資金対策に役立つ不動産管理会社の設立が注目されていいます。不動産管理会社を設立した場合には、次の効果が見込まれます。
(1)毎年の税率の引下げ
個人所有の物件は、すべてその所有者に帰属します。したがって、収入が個人に集中することになり、収入があがればあがるほど高所得となります。また、所得税、住民税の税率は超過累進税率ですので、高所得になるほど税率が高くなってしまいます。
これを、不動産管理会社を設立して法人に所得を分散すれば、法人に帰属する収入については、一律の税率で課税されるので、税率の引下げになります。また、個人に帰属する収入を少なくすることで、個人の側でも税区分を引き下げることができます。
(2)相続財産の圧縮
個人の不動産を法人へ移すことで、不動産オーナーの資産を減少させることに繋がります。不動産オーナーが法人の株主である場合には、不動産管理会社そのものを評価しそれが相続財産となりますが、不動産から将来的に見込まれる収益も法人の収入となりますし、また、資産管理会社について株価対策を行いやすくなります。
(3)納税資金の準備
不動産から生じる収入から得られる所得を給与として支払うことにしたうえで、不動産オーナーの相続人を法人の役員とすれば相続税の納税資金準備に役立ちます。
不動産オーナーの所得を不動産管理会社に移転して会社を運営していくには、大きくわけると次の3つの方法があります。
(1)管理料徴収方式
すでに個人で賃貸用の物件を持っているオーナーが不動産管理会社を設立して、それらの物件の管理をその会社に任せる方式です。この場合は、あくまでも不動産の所有者は個人ですので、物件から得られる家賃はオーナーの収入となります。オーナーは、不動産管理会社へ不動産の管理手数料を支払います。管理料は、賃貸収入の4~7%が妥当なところでしょう。
(2) 転貸(サブリース)方式
こちらもすでに個人で賃貸用物件を持っているオーナーが、不動産管理会社を設立して、それらの物件をその不動産管理会社に一括で貸し付け、その不動産管理会社がさらに第三者に対して転貸する方式です。会社はオーナーに家賃を支払い、会社はその物件について入居者を募集して第三者から家賃収入を得ます。不動産管理会社の利益は、第三者からの家賃収入と、オーナーへの支払家賃との差額になり、実務上は家賃収入の5~12%の間で設定されることが多くなっています。
(3)不動産所有方式
個人の賃貸用の物件を不動産管理会社へ譲渡し、不動産管理会社が物件を保有したうえで管理運営を自ら行い、それを賃貸する方式です。不動産から生じる収入は100%法人の所得になりますので、不動産収入の分散効果が最も高くなります。
別会社を設立した場合のメリット、デメリットについては、平成27年2月9日のガルベラ・パートナーズグループのブログにてご確認ください。不動産管理会社を設立した場合には、こちらのメリットに加えて、上記効果も見込まれるため、節税対策となりおすすめです。しかし、節税のみを目的とした法人の設立は、税務署に否認されるリスクもつきまといますので注意が必要です。ガルベラ・パートナーズグループでは、不動産管理会社の設立の実績が多数ありますので、ご興味のある不動産オーナーの方は、ぜひご相談ください。