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節税|2024年に生まれ変わる『新NISA(ニーサ)』とは

2023/06/14

Q、2024年に生まれ変わる『新NISA(ニーサ)』いったい何がお得な制度なの?

A、NISA(ニーサ)は、上場株式や投資信託などの配当金や売買益に本来は課税される約20%の税金が非課税となる制度です。2024年にスタートする新NISA(ニーサ)では、非課税となる期間が無期限化されたり、非課税となる限度額も1,800万円へ大幅に拡充されたりと、さらにお得度が増した新制度になることが決まりました。
一体どんな制度なのでしょうか。NISA(ニーサ)を始めたいけどよく分からない方はもちろん、既に現在のNISA(ニーサ)を活用している方も一緒に確認していきましょう!

 

解説(公開日:  最終更新日:

   

最近、投資には全く無縁だった方も『NISA(ニーサ)』や『つみたてNISA(ニーサ)』といった言葉をSNSやニュース等でよく耳にするようになり、こういった優遇税制を活用した投資に興味を持つ人もかなり増えてきたのではないでしょうか。

 

それもそのはず。2022年12月末時点のNISA(ニーサ)口座数は約1,800万口座(金融庁、速報値)ですから、10人集まれば1人か2人はNISA(ニーサ)を既に活用している計算になります。

 

NISA(ニーサ)は、『一般NISA(ニーサ)』が2014年から、『つみたてNISA』が2018年からスタートしました(他にも20歳未満が対象のジュニアNISAも2016年からあります)。

 

『一般NISA(ニーサ)』は、投資できる範囲が上場株式や投資信託など幅広く、年間120万円までの購入分に対して最大5年間保有できるという制度です。

一方『つみたてNISA(ニーサ)』は、投資できるのは金融庁が認めた投資信託のみと限られてはいるものの、年間40万円までの購入分に対して最大20年間保有できます。

 

特に『つみたてNISA(ニーサ)』は、「つみたて」という名の通り、長期投資を前提としているため、年間40万円×20年間で最大800万円もの金額まで積み立てることができます。

 

もし最大の800万円を積み立てたときに、投資信託が1,000万円の評価額になっていれば、利益は200万円となりますが、『つみたてNISA(ニーサ)』であれば全額非課税となり、売却しても利益200万円がそのまま手に入ることになります。

(※通常であれば、株式投資の利益には約20%の税金がかかるため、200万円×20%の40万円が差し引かれ、手に入るのは160万円だけとなります。この差は大きいですね。)

 

以上が2023年までのNISA(ニーサ)です。

既にお得な制度であることは間違いなさそうですが、2024年からはさらに制度が拡充されることになります。

 

≪2023年までのNISA≫(金融庁HPより引用)

NISA(20歳以上)
ジュニアNISA
(20歳未満)
つみたて投資枠
成長投資枠
制度開始
2014年1月から
2018年1月から
2016年4月から
非課税保有期間
5年間
20年間
5年間
※ただし、2023年末以降に非課税期間が終了するものについては、20歳まで非課税で保有を継続可能。
年間投資枠
120万円
40万円
80万円
投資可能商品
上場株式・ETF・公募株式投信・REIT 等
長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託
※金融庁への届出が必要
一般NISAと同じ
買付方法
通常の買付け・積立投資
積立投資(累積投資契約に基づく買付け)のみ
一般NISAと同じ
払出し制限
なし
なし
あり(18歳まで)
※災害等やむを得ない場合には、非課税での払出し可能。
備考
一般とつみたてNISAは年単位で選択制
2023年1月以降は18歳以上が利用可能
2023年末で終了
 

≪2024年までのNISA≫(金融庁HPより引用)

つみたて投資枠
成長投資枠
年間投資枠
120万円
240万円
非課税保有期間(注1)
無期限化
無期限化
非課税保有限度額(総枠)(注2)
1,800万円
※薄価残高方式で管理(枠の再利用が可能)
1,200万円(内数)
口座開設期間
恒久化
恒久化
投資対象商品
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
[現行のつみたてNISA対象商品と同様]
上場株式・投資信託等(注3)
[①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外]
対象年齢
18歳以上
18歳以上
現行制度との関係
2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用
※現行制度から新しい制度へロールオーバーは不可

(注1)非課税保有期間の無期限化に伴い、現行のつみたてNISAと同様、定期的に利用者の住所等を確認し、制度の適正な運用を担保

(注2)利用者それぞれの非課税保有限度額については、金融機関から一定のクラウドを利用して提供された情報を国税庁において管理

(注3)金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買への勧誘行為に対し、金融庁が監督指針を改正し、法令に基づき監督及びモニタリングを実施

(注4)2023年末までにジュニアNISAにおいて投資した商品は、5年間の非課税期間が終了しても、所定の手続きを経ることで、18歳になるまでは非課税措置が受けられることとなっているが、今回、その手続きを省略することとし、利用者の利便性向上を手当て

 

2023年3月28日、令和5年度の税制改正法案が参議院を通過し成立しました。これを受けて、現在のNISA(ニーサ)制度は2023年末で終了し、2024年1月からは新しいNISA(ニーサ)制度が始まります。

 

【新NISA(ニーサ)の凄いところ①】非課税保有期間が「無期限」になる!

2024年から始まる新しいNISA(ニーサ)では、非課税となる保有期間が「無期限」となります。2023年までのNISA(ニーサ)では、一般NISA(ニーサ)で最大5年間、つみたてNISA(ニーサ)では最大20年間と期限の設定がありましたが、新NISA(ニーサ)では、制度が変わらない限り永久に非課税のまま保有し続けることができます。

 

例えば、先程のつみたてNISA(ニーサ)の例では、40万円×20年間で800万円の計算でしたが、無期限であれば40万円×40年間で1,600万円積み立てることも可能です。元本が大きくなれば、利益も大きくなることが多いですから、より長く多く投資できるのは魅力的ですね。

 

年間の投資枠も40万円から120万円に広がるので、投資額に余裕のある方は、積み立てスピードを速めて120万円×10年間で1,200万円積み立てることも可能です。ただし、非課税となる保有額は最大1,800万円までなので、期間は無期限ですが、金額の枠は限度があるという点は注意しましょう。

 

(※以上は新NISA(ニーサ)の「つみたて投資枠」の説明です。新NISA(ニーサ)では「成長投資枠」という枠もあり、つみたて投資枠と併用可能で保有期間も無期限ですが、成長投資枠部分の保有限度額は1,800万円ではなく1,200万円までとなります。また、成長投資枠の年間投資枠は240万円までです。)

 

【新NISA(ニーサ)の凄いところ②】途中で売却しても保有限度額はなくならない!

新NISA(ニーサ)では、非課税となる最大の保有額が1,800万円までとなります。保有額というのは、買い付けた金額で管理されるため、例えば600万円で購入した投資信託が800万円に値上がりしても、保有額としては600万円のままなので、残り1,200万円分は新たに買い付けすることができます。(残り1,000万円とはなりません)

 

ではここで、購入した600万円のうち半分の300万円分を売却したらどうなるでしょうか。売却をしたので、保有額はもちろん300万円に半減しますが、新たに買い付けすることができる残りの分は、1,200万円のままではなく、1,500万円へと売却した300万円分が復活するのです!(これを非課税枠の再利用といいます)

 

もし積み立ての途中で急にお金が必要になったとしても、売却した分の非課税保有限度額はなくならないため、また1,800万円の限度額までは余裕が出てきたときに再度投資を行うことができます。

 

ちなみに、現在2023年までのNISA(ニーサ)を既に活用している方も、それまでの非課税投資枠とは別に、2024年から最大1,800万円の非課税枠を新たに活用することができるので、損をすることはありません。始めるのが早かった人ほど、税制優遇の恩恵は大きくなっていますね。

 

【新NISA(ニーサ)のデメリット】損益通算や損失の繰越控除ができない!

ここまで、新NISAのメリットばかりをお伝えしました。それではデメリットはないのかといえばもちろんあります。以下を押さえておきましょう。

 

新NISA(ニーサ)に限らずこれまでのNISA(ニーサ)も同様ですが、「損益通算」ができないこと、損失の「繰越控除」ができないことの2点がデメリットとして挙げられます。

 

例えば上場株式を売却して100万円の損失が出た場合、他の証券口座で100万円利益を出していれば、損失と利益を相殺し、損益は±0円と計算されます。また、利益は出ていなくても、配当金(配当所得)を60万円貰っていれば、同様に相殺して今度は40万円の損失ということになります。

 

ただし、NISA(ニーサ)で損失を出してしまった場合は、その損失も非課税として扱われるため、他の利益や配当と損益通算することはできません。

 

また、仮に今年100万円の損失が出た場合、通常であれば翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことができるため、来年100万円利益が出ても、今年の損失が繰り越されているので相殺され、利益0円で所得税は発生しません。

 

NISA(ニーサ)での損失は、翌年以降に繰り越すことができませんので、注意が必要です。

   

以上、今回は新しいNISA(ニーサ)について解説を行いました。

 

政府の後押しもあり、今後ますます投資に関する税制優遇が強まっていきそうな雰囲気の中、新しいNISA(ニーサ)を活用することは、20年、30年先では当たり前になっているかもしれません。経営者の方はもちろん、サラリーマンや専業主婦(主夫)の方でも、誰もが今すぐ活用できる効果も大きい税制優遇となっておりますので、是非積極的に利用していきたいところです。ご自身だけではなく、ご家族やご友人ともお話してみてはいかがでしょうか。

金融庁HP「NISAとは?」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html

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