2016/09/29
Q 知人の会社に税務調査が入り、驚くほどの罰金を支払ったと話していました。税金に罰金があるのはなんとなく知っていましたが、もし、計算が間違っていた場合、どのくらいの罰金を支払わなければいけないのでしょうか。
A 確かに税金の罰金的なものがあります。「罰金」というよりは罰金的な性格をもった税金がある、という方がより正確でしょうか。
1946年に日本国憲法が公布され、ここで納税が教育・勤労と並んで国民の三大義務として定められました。翌年の1947年には、申告納税制度が導入され、納税者が自主的に自分の所得(儲け)や税額を計算し自ら申告・納税することとなりました。
従いまして、日本の税制度は、基本的に自分の儲けを自ら計算し、そこから税金を算出して納付しなければなりませので、国としては、その計算が適正に行われるように、そして期日までにしっかり納税されるように、徴収する義務があるわけです。
そうは言っても、人間がすることですので、期日に遅れたり、計算に誤りがあったりすることが想定されます。そこで、このようなことを抑えるために、罰金的な税金の設置が必要になるわけです。
税務の世界ではこのような罰金的な税金のことを「付帯税」と呼びます。この付帯税には、いくつかの種類があります。
Ⅰ 延滞税
Ⅱ 利子税
Ⅲ 過少申告加算税
Ⅳ 無申告加算税
Ⅴ 不納付加算税
Ⅵ 重加算税
上記ⅠとⅡは、納付が遅延した場合の利息としての性格、ⅢからⅥは申告に不備があった場合の罰則的な性格をもつ加算税です。
まずは、ⅠとⅡについてご紹介いたします。
Ⅰ 延滞税
延滞税は、税金の納付期限までに納税ができず滞納になった場合に課税される税金です。
【こんなとき】
・申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。
・期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。
・更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。
【延滞税の計算】
本来の納期期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じた延滞税を納付することとなります。
延滞税は、本税だけを対象として計算されるので、加算税に対しては課税されません。
(1)本来の納期限の翌日から2カ月を経過する日までは、原則年7.3%
ただし、平成12年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、「前年の11月30日において日本銀行が定める下記基準割引率+4%」
また、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「下記特例基準割合+1%」のいずれか低い割合。
H27年1月1日~H28年12月31日まで 年2.8%
H26年1月1日~H26年12月31日まで 年2.9%
H22年1月1日~H25年12月31日まで 年4.3%
H21年1月1日~H21年12月31日まで 年4.5%
H20年1月1日~H20年12月31日まで 年4.7%
H19年1月1日~H19年12月31日まで 年4.4%
H14年1月1日~H18年12月31日まで 年4.1%
H12年1月1日~H13年12月31日まで 年4.5%
(2)納期限の翌日から2月を経過した日以後は原則として年14.6%
ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「下記特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合。
H27年1月1日~H28年12月31日まで 年9.1%
H26年1月1日~H26年12月31日まで 年9.2%
Ⅱ 利子税
延滞税は遅延利子としての意味合いを持ちますが、これに対し、利子税は延滞の許可を得ている場合や、申告期限の延長が認められている場合に、その延長期間にかかる利息のようなものです。
利子税が計算される期間については、延滞税は課税されません。
【こんなとき】
・申告期限の延長の許可を得ているとき
・延納の許可を得ているとき
【利子税の計算】
原則として年7.3%
相続税や所得税&復興特別所得税には、納税期限を延長する延納制度があります。
(相続税の場合)
相続財産に占める不動産等の占める割合に応じて利子税の年利は10種類に分かれており、延納期間もそれぞれ定められています。
さらに、財産の中で動産の価額に対応する部分と不動産等の価額に対応する部分とで利子税の割合が異なっています。
不動産等はすぐに現金化することが難しいので、不動産等が多いほど延納期間は長く設定され、利子税の割合も安く設定されています。
(所得税&復興特別所得税の場合)
確定申告期限までに納付すべき税額の半分以上を納付すると、残りの税額の納付期限を5月31日に延期することが可能となります。
延長期間となる3月16日から5月31日までは年1.8%の利子税が計算されます。
次回につづく
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