2015/12/29
Q 来年からパートタイマーも社会保険に加入しなければならないという話を聞いています。当社は、小売業でパートタイマーの比率が高いので、心配しています。どのような対応をすればよいのでしょうか?
A 年金事務所による社会保険調査の激化については、先日の記事(2015/11/3投稿:【マイナンバーと社保】国税庁とデータ連携で未加入調査が激化か!?)にてご案内させていただきましたのでご覧ください。
いよいよ2016年10月より、パートタイマーへの社会保険の適用拡大が実施されることになり、新聞等でも報道が多くなっています。今回は、あらためてその要件を確認してみたいと思います。
【現状の社会保険加入要件】
原則として、週所定労働時間30時間以上(正社員の3/4以上)であれば社会保険に加入しなければならない。
(また、年収130万円以上が見込まれれば、被扶養者になることができないため、自分で社会保険に加入するか、国民健康保険に加入することになります。)
【2016年10月以降の社会保険加入要件】
(1) 従業員 501人以上の企業が対象になります。
※従業員数については、「現行の適用基準で適用となる被保険者」であり、1事業所ではなく企業単位での人数で判断されます。
※なお、平成31年10月以降に制度の見直しが予定されていますので、中小企業にも拡大していく可能性があります。
(2) 週所定労働時間 20時間以上であること
(3) 月額賃金8.8万円以上であること
(4) 勤務期間が1年以上見込まれること(学生アルバイト等は除く)
今回の変更で、新たに社会保険加入義務が発生するのは25万人とされています。(第24回社会保障審議会年金部会資料より)
こうした状況で、各企業は対応が迫られますが、取るべき方向性としては次のようになります。
(1) 社会保険の加入を希望しないパートタイマーの労働時間を抑制しなければなりません。
(2) 一人当たりの時間を抑制しても、人手不足で採用を増やすのは難しいので、業務の効率化(時短)が必須となります。
(3) 優秀なパートタイマーについては、正社員化や社保加入を進め、人材確保をしなければ、待遇のよい大手企業に流出する懸念があります。
こうした取り組みを支援するため、有名なものですと「キャリアアップ助成金」があります。これは、パートタイマーを正社員化した場合に、一人当たり最大50万円が支給される制度です。詳細については、下記の記事をご覧ください。
ガルベラQ&Aブログ 助成金に関する記事はこちら
また、新たに、パートタイマーの処遇改善を支援するために、2016年4月より新たな助成金が検討されている模様です。確定の情報ではありませんが、報道によると、次のような内容になるようです。
(1) パートタイマーの労働時間を週5時間以上延長して、社会保険に加入させることで一人当たり20万円の助成金を支給する。
(2) パートタイマーの時給を2~3%程度の賃上げした場合に、一定の助成金を支給する。
政府としても、社会保険料の負担を緩和するための措置を用意しているわけですが、こうした助成金を活用するためには、就業規則、労働条件通知書、賃金台帳、タイムカードなど基本的な労務管理ができていることが前提となります。
年金事務所の調査が入ってから慌てて対応という状況になりますと、助成金の活用もできませんし、状況によっては、過去の遡及払いに発展する場合もあります。
現場のオペレーションをパートタイマーに依存している企業にとっては、金銭の問題だけではありません。労働集約型の企業にとっては、人材戦略はすなわち経営戦略です。
限られたコストの中で、いかに有用な人材を確保するか?会社の真剣さが問われる時代になっています。
弊社では、規程の整備など基本的な労務対策パッケージから、人事制度、助成金情報など、総合的なコンサルティングが可能です。他社事例も豊富にございますので、ぜひお気軽にご相談ください。
社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズ HPはこちら
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