GERBERA PARTNERSブログ

外国人雇用|組合設立は新制度になってからの方が良いのでしょうか?

2025/05/20

Q、組合設立を考えていますが、今からだと技能実習の新制度になってからの方が良いのでしょうか。

A、昨年、政府は外国人技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」へと移行する方針を示しました。これは、従来の技能移転を名目としながら実質的に労働力確保の手段となっていた制度を見直し、外国人労働者がキャリアを形成しながら日本社会に貢献できる制度への転換を図る内容となっています。この変更により、外国人材の受け入れに関わる事業協同組合の設立や監理体制にも大きな影響が及びます。

 

解説(公開日:2025/05/20)

   

新制度「育成就労制度」の主な変更点には、①労働者の転籍(就労先の変更)が原則可能となること、②監理団体の役割・責任が大幅に強化されること、③日本語力や職業能力など人材要件の明確化、④キャリア支援や就労定着支援の義務化などが挙げられます。特に転籍が原則認められるようになることで、企業側には人材の定着や職場環境改善にこれまで以上に注力する必要があります。

 

こうした背景から、2025年5月時点で事業協同組合の設立を検討する際に悩まれるのが、「制度移行前の技能実習制度で設立を急ぐべきか」、「新制度完全施行後に設立を待つべきか」という判断です。以下、それぞれのメリットと留意点を比較して検討します。

 

現行の技能実習制度のもとで組合を設立する場合

現行の技能実習制度のもとで早期に組合を設立するメリットは、制度がまだ運用実績に基づいた枠組みであるため、設立から監理団体認可、実習生の受け入れまでのプロセスが比較的明確であり、申請がスムーズに進みやすい点です。また、早期に組合・監理団体としての運用実績を積み上げておくことは、今後の制度移行後に評価される可能性もあります。ただし、制度改正により、運用ルールや受け入れ基準が変更される場合には、すでに整備した仕組みや運用体制の見直し・再設計が必要になるリスクも存在します。また、移行にともなう追加的なコストや手続き負担が生じる可能性があることにも留意が必要です。

 

育成就労制度が施行された後に組合を設立する場合

一方で、育成就労制度が完全に施行された後に新制度に準拠して組合を設立する場合、初めから新たな制度設計に対応した組織体制を構築できるというメリットがあります。たとえば、日本語教育体制や職業能力開発、キャリア支援、転籍への対応など、制度に即した受け入れモデルを一貫して整備することができ、後の修正が少なく、長期的に持続可能な組織運営が期待されます。また、法改正の趣旨に沿った透明性・公正性の高い運営体制は、外国人材の安心・信頼を得るうえでも有利に働くと思われます。ただし、2025年5月時点では、育成就労制度の詳細な実施要領や運用基準(政省令・ガイドライン等)がすべて明確になっていない部分もあり、制度の全容が見えた後での準備となるため、スタートが遅れる点には注意が必要です。

 

結論

結論として、すでに外国人材の受け入れニーズが高く、早期の受け入れを希望する企業や組合設立予定者にとっては、現行制度での設立を進めつつ、制度移行に備えて柔軟な体制設計をしておくことが現実的かもしれません。

一方で、制度変更による再構築リスクを回避し、長期的視点で制度に適合した組織運営を重視する事業者は、新制度完全施行後に組合を設立する方が望ましいといえるでしょう。

 

いずれを選ぶにしても制度改正の内容を的確に把握し、外国人材の適正な受け入れと育成に資する体制を整備することが、今後の協同組合運営において重要な鍵となります。

 

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