2018/04/11
A、企業にとって採用の自由は認められていますが、一定の法令等により制限が掛かっています。募集、選考の過程での法に抵触するような言動は、求職者離れにつながりますので留意が必要です。
判例等でも企業の採用の自由は広く認められています。ただし法令の定めによる制限がかかる場合はこの限りでありません。売り手市場の現状においては特に留意が必要です。以下の制限事項についてご確認ください。
性別を理由とする募集・採用差別は禁止されています。また間接差別として、応募要件に身長、体重、体力に基準を設定したり、総合職の募集・採用に転居を伴う転勤を要件とすることも禁止されています。
募集・採用時に年齢制限をつけること(例えば40歳以下とすること)は、原則として禁止されています。但し例外として以下の場合が認められています。
障害者であることを理由とした差別は禁止されています。さらに、障害者の雇用率が一定比率に満たない場合は、その企業から障害者雇用納付金を徴収することとしています。
労働者が労働組合から脱退すること、あるいは採用後に労働組合に加入しないことを雇用条件とすることは、不当労働行為として禁止されています。
思想や信条(考え方)を理由として採用しないことに関しては、明確に禁止する法律の規定がないため、原則として認められると考えられますが、これらの理由による採用差別については公序良俗に反して違法とされる可能性もありますので、業務や能力と直接関係のないことを理由として採用しないという場合については注意が必要と考えます。
採用過程における求職者の調査については明確に禁止された法令等はありませんが、昨今は個人情報の保護の観点から配慮が必要です。企業は原則として人種、民族、社会的身分、本籍、出生地等の社会的差別の原因となるおそれのある事項や、思想・信条、信仰、労働組合への加入の有無、医療上の個人情報等を収集してはならないと指針で定められています。
また、応募者の基本的人権を尊重した公正な採用選考が実施されるようにするため、採用選考時の身元調査や合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断は行わないようにすること、思想や宗教といった本来自由であるべき事項や、本籍、出身地、家族に関してなど本人に責任のない事項については、調査をしないようにすること等の指針が示されています。
採用の自由はこれまでも企業にとって広く認められていますが、法令や個人情報の観点から多くの制限がかけられています。社会的環境の変化もあり、業務に関連しない質問は行わないなど募集、選考における対応も変化が求められています。
求職者に選んでもらう企業になるためには、一定の配慮をしつつも必要なことは事前に確認するというスタンスで採用活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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