GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|【働き方改革】在宅勤務・テレワーク規程作成の注意ポイント

2018/06/08

Q、当社では、働き方改革の一環として、場所にとらわれない効率的な働き方を制度化しようと検討を進めています。在宅で勤務が可能になれば、通勤の時間や負担を減らし、密度の高い業務が期待できますし、社員にとっても早く業務を終わらせようというモチベーションが働くことで、労働時間の短縮にもなるのではないかと期待しています。
制度を構築する上で、どのような点に注意すべきでしょうか?

 
A、制度として運用するためには、「労働時間の管理」「利用できる条件」「人事評価の適用」「情報管理」「健康管理」などのルールを「在宅勤務・テレワーク規程」といった形で規程化する必要があります。
 

解説(公開日:2018/06/08  最終更新日:2018/06/26 )

厚生労働省から、「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク) の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成30年2月22日)が発表されました。本資料を確認しながら、労働法令に沿って制度導入をするための注意点をまとめたいと思います。

 
厚生労働省HP
「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」
 
 

【1】どのような勤務パターンがあるのか?

 
大きく分けて3つの類型が想定されています。
 
①在宅勤務

通勤の必要がないというメリットを活かし、時間を有効に活用することが可能となる。また、育児介護等の事情のある社員も勤務を継続しやすくなる。

 
②サテライトオフィス勤務

自宅近くや通勤途中の場所などに設けられたサテライトオフィスを利用することで、通勤時間を短縮できる。専門業者が用意した環境良好のオフィスを創作作業や営業活動の拠点として利用することで、良い環境でクリエイティブな業務をすることが期待できる。

 
③モバイル勤務

社員が自由に働く場所を選択できる。営業マンや客先で打ち合わせをしながら付加価値を生み出していくような外勤の専門職に向いた働き方。会社との往復時間が節約でき、モバイル端末を活用した効率的で成果主義的な働き方をすることができる。

 
 

【2】労働法の適用はどうなるのか?

 

上記の資料によりますと、「テレワークを行う労働者にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用される」とあります。

 

  • ・労働条件通知書(労働契約書)の交付
  • ・休日、年次有給休暇に関する規定
  • ・残業代、深夜割増等の支給
  • ・定期健康診断、ストレスチェックの実施
  • ・労災が発生したときの対応
  • ・業務上の事故等に関する使用者責任

 

以上のような労働法、関係法令の規制は、通常の労働者と変わりなく適用されます。

いわゆる業務委託契約による個人事業主やフリーランサーのように、月額固定額を支給して、あとは自己責任でお願いしますといったような取扱いはできませんので、ご注意ください。

 
 

【3】労働時間の管理はどうするのか?

 

前述のとおり、原則はテレワーク労働者であっても、会社の責任において客観的な方法で始業・終業の時刻を管理する必要があります。(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」平成29年1月20日策定)

 

しかし、テレワーク労働者は実態としてほぼ社外で勤務することが想定されていますので、始業・終業の時刻管理は実務上困難な場合が多いと思います。(スマートフォンで社外から打刻できるクラウド勤怠システムもあるようですが、従来型の機械打刻だと難しいようです。)

 

社外勤務した場合であって、会社の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときは、労働基準法第38条の2で規定する事業場外労働のみなし労働時間制を適用することができます。上記の資料によれば、みなし労働時間制を適用することができる要件は次の二点とされています。

 

  • (1) 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。(情報通信機器を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態を指す)
  •  

  • (2) 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと。(当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これら基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれない)

 

なお、時間内に終わる見込みのない過重業務を指示して、形式的にみなし労働時間を適用するのは、単なる持ち帰り残業の強制で不適切な運用です。実態に合った「みなし時間」となっているか労使で確認し、業務量を見直したり、場合によっては「みなし時間数」に関する労使協定を締結する必要があります。

 
 

【4】その他に定めるべきこと

 
(1) テレワークを適用できる条件
 

「自己管理能力が一定以上にあるということ」「社外で実施できる業務であること」「業務の成果が計測可能であること」などが条件としては必要です。会社によっては、育児・介護などの事情がある社員にのみ認めるという運用をしている事例もあり、その場合は条件を明示して、規程として社内周知する必要があります。

 
(2) 打刻管理のルール
 

「タイムカードを打刻すべき場合」と「みなし労働時間が適用される場合」など整理する必要があります。また、残業に関しての許可制を導入している場合は、「残業申請、休日勤務、深夜勤務」に関する許可申請の方法や承認者を定めておく必要があります。

 

テレワーク社員にフレックスタイム制を適用することもできますが、その場合は労使協定の締結も必要です。

 
(3) 休日や休暇のルール
 

休日の振替えや有給休暇、特別休暇の申請のルールを整備する必要があります。

 
(4) 給与体系や人事評価のルール
 

給与体系や賞与の取扱い、人事評価の運用は、一般の内勤社員と共通化できる部分と別のルールを適用すべき部分があります。

 

例えば、内勤者向けの固定残業代制度などは、テレワーク社員にはそぐわないという考え方があるかもしれません。また、通勤は発生しないので、通勤手当は支給しない等の定めは合理的な処遇の差と言えますが、きちんと明文で定めておくべきです。(その上で、業務上の移動に要する交通費は、経費精算システムなどで効率的に処理していくべきでしょう。)

 

人事評価にしても、上長の監督下で業務をしているわけではないので、内勤者向けの一般的なコンピテンシー定性評価は適用が難しいかもしれません。

場合によっては、テレワーク社員用の評価フォーマットを作成して、成果物の質や量によるアウトプット評価や、部門別KPIを指定しての業績評価、自主的な目標管理制度をメインとして評価した方が納得感のある制度になる場合があります。

 
(5) 情報管理
 

社外での情報流出を防ぐために、端末のセキュリティや使用制限に関するルールが必要です。ルールを定めて、重要事項についてはセキュリティの高いクラウドサーバーの活用、指紋認証ログインやセキュリティフィルター等の技術的対応が必要になる場合が多いようです。

 
(6) 機材や費用の負担
 

使用する機材は会社の専用端末を貸与とするケースが多いと思いますが、やむを得ず個人端末を使用させる場合は、公私混同が起こらないようなルールが必要です。その他、通信費や光熱費、コピー機の費用など費用負担のルールを定めておく必要があります。各自、自宅のものを勝手に使ってください、ということでは会社のルールとしては心もとないです。

 
(7) 健康管理、その他のルール
 

健康診断やストレスチェックの受診が漏れないような連絡体制が必要です。

また、全体会議への出社日の指示、研修への参加、人事評価や面談の日程調整など、人事系イベントも漏れないように連絡体制が必要です。

 

さらに、顧客からのクレームや、業務上の事故に関するレポートライン、報連相の手段の確保(グループウェアやチャットアプリの導入など)、非常時の連絡網の整備などは必要不可欠と思われます。

 

全ての人にとって時間は有限な資源です。場所的制約を減らして、通勤時間や移動時間を削減して働くというテレワークは、時短の取組みとしては可能性の大きなものであると考えられます。

 

日系企業の生産性は諸外国に比較して低いと指摘されております。

居残りによるガンバリズムアピールとか上長が残っているうちは帰れないといったような、悪しき慣行が実態として残っている企業が多く存在します。また、未整理のまま属人化した事務作業を人海戦術で処理している低生産企業の多く見られるようです。

 

組織の生産性は、最も低いところ(ボトルネック)に揃えられてしまうということも言われております。本来は効率的に働きたいという優秀な人材が、つきあい居残りや密度の薄い会議やミーティングにスポイルされているようであれば、生産性の向上などは望むべくもないでしょう。

 

自己管理能力が高く、指揮命令を行わなくても成果を出せる社員については、積極的にテレワークの適用を検討してもよろしいのではないでしょうか。

 

弊社では、実務的な観点から、人事労務を含め内部統制の整備をご支援させていただいております。社内規程や管理体制の整備でお悩みの場合は、お気軽に下記問い合わせフォームよりお申し付けください。

 
 


 
 

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