2018/07/02
平成30年6月29日に働き方改革関連法が参院本会議で可決成立しました。
このなかでも、最も注目されているのが「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれる、特定高度専門業務・成果型労働制の創設です。
働き方改革と言えば、時間外労働と休日労働の時間数を併せての上限の定めや、インターバル勤務制度の創設、年次有給休暇の取得の義務づけなどの長労働時間を抑制するイメージが強く見うけられます。これに反して「高度プロフェッショナル制度」では、むしろ長時間労働を助長するのでは、と懸念されています。
具体的にはどのような制度であるかを見ていきましょう。
■ 高度プロフェッショナル制度とは?一定の年収がある、高度な専門職に従事する従業員を対象に、労働時間、休日、深夜の割増賃金を支給除外とする制度です。施行は、2019年4月1日とされています。 労働基準法では、働いた時間に対して賃金を支払うことが原則です。
一方この制度は、「脱時間給制度」と呼ばれるように、働いた時間ではなく、仕事の成果に対して賃金を支払うというものです。これまでも管理監督者などの適用除外や、裁量労働制によるみなし労働時間などの、労働時間と賃金が必ずしも対応しないケースがありますが、年収ベースと対象業務を定めて、より対象者を明確にした一歩踏み込んだ制度と言えるでしょう。
■ 対象となる業務「高度の専門知識、技術または経験を要する」ことと、「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」ことを備えた業務であるとされていますが、具体的には、厚生労働省令で今後定めることとされています。
想定される業務は、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務および研究開発業と言った高度な専門性が求められるものが上げられます。
■ 対象者対象となる従業員は、企業との合意により、職務が明確に定められていて、一定の年収が支払われることが条件です。この一定の年収は、スタートラインでは、労働基準法に基づく告示の内容である1075万円と言われています。
■ 制度導入の手続き制度を導入するには、使用者側と従業員代表で構成する労使委員会が設置された事業所であることが第一条件です。
この労使委員会において、委員の5分の4以上の多数で次の項目を決議することが必要です。
また、この決議を管轄の労働基準監督署に届け出ることで、制度を導入することができます。
このように、制度の対象となる従業員が限られていることと、導入の手続き取り、労使委員会で定めた事項を、正しく運用していくことが求められます。対象となる業務や従業員が限られるため、全ての企業に適用される制度ではありません。
また、時間の把握、健康管理措置も義務付けられているため、必ずしも長時間労働を助長するとも限らないと考えられます。企業と働く側が、適正に同等の立場で合意ができることが、制度導入の要になるでしょう。
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