GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|身だしなみについて、会社の指示に従わない従業員への対応は?

2019/01/25

Q、身だしなみについて、会社の指示に従わない従業員がいます。どのような対応を取ればよいでしょうか

  A、会社は必要かつ合理的な範囲で、一定のルールを設けることが出来ます。ルールが適切であり、従業員が正当な理由もなく指示に従わない場合は、人事評価による減点や懲戒処分を行うことも可能です。

解説(公開日:2019/01/25)

先日、地下鉄の運転手が、髭をそらなかったために不当な人事評価を受けたとして慰謝料を求めた事件で、会社側に支払を命じた判決が出ました(大阪地裁)。

服装や頭髪、アクセサリーなどについては、従業員としては表現の自由を主張します。一方、会社側は企業内の規律や秩序維持、対外的な信用の獲得のため一定の制約を設けたいところです。過去の裁判例から、会社が必要かつ合理的な範囲内で一定の制約を行うことは可能とされています(東谷山家事件(福岡地判平9.12.25)等)が、線引きが難しいところであり、以下に労務管理上のポイントをまとめてみました。

 

ルールの範囲・内容はどの程度が妥当か

一概に適用できる基準はありません。

ルールを策定する会社の業種、対象となる職務の性質、制約の目的と態様、ルールを設けないことによる業務への支障などを総合的に考慮する必要があります。

 

考慮にあたっての基準は

業種や職務に関しては、接客・販売、営業職、窓口、企業受付といった顧客や取引先と直接対面するような場合は、会社の信用や業績にも影響が出やすいため、ルールは設定しやすいです。

逆に、コールセンター・事務センター、社内でのプログラミングなど、外部との対面接触がない職種については、社内の規律や秩序を維持できる程度のルールは必要ですが、過度な制約を従業員に課すことは適切ではありません。

目的と態様については、仕事を行う上で本当に必要なルールなのかという視点が必要です。特に頭髪、髭などは、私生活上の行為にも影響を及ぼすため制約しにくいです。必要もなく頭髪の長さや色を指定するなどはトラブルのもととなるため避けたほうが良いでしょう。

業務上の支障については、機械操作や配膳業務において安全や衛生面の観点から、長髪の場合は髪を結う、裾や袖の長いデザインの衣服を禁止するなどは妥当範囲と思われます。

 

どのように対処するか

① ルールを明文化する

就業規則の服務規律について、服装やアクセサリー、頭髪、髭などについて規定しましょう。具体的にドレスコードなどを作成すると尚良いでしょう。前述の考慮すべき点に注意しながら必要かつ合理的な内容となるよう心がけましょう。

 

② ルールから逸脱している従業員には注意する

ルールについて大目に見ることは会社にとっても従業員にとってもマイナスとなります。エスカレートしてくると問題がこじれますので、逸脱した行為は早めに注意改善しましょう。

 

③ 業務上の支障が生じてないか確認する

顧客や取引先、その他の利害関係者から苦情が出ている場合は、早急な対応が必要です。その場合、会社として必要性は高いため、強く注意・指導を行うことが出来ます。また、社内の風紀や秩序が乱れている場合も同様です。

 

④ 書面による注意・指導

口頭注意でも反省や改善が見られない場合は、書面にて指導を行います。その際、従業員の主張は必ず確認しましょう。正当な理由がなければ、毅然とした態度で対応しましょう。

 

⑤ 人事評価への反映、懲戒処分

書面による指導によっても改善されない場合は人事評価への反映、懲戒処分の検討も行いましょう(人事考課規程、就業規則に明文化されていることが前提)。懲戒とする場合は譴責処分といった軽めの処分から行うほうがよいでしょう。

 

以上、身だしなみに関する労務管理についてまとめてみました。

会社も従業員も歩み寄る部分が必要な論点だと思います。線引きが難しいからこそ、会社側は従業員への一定の自由は許容したうえでルールを定めることが肝要です。一方、決めたルールは厳格に運用することで、労使間で良い緊張感を保つことが出来るのではないでしょうか。

         

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