GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|労働時間の基本~残業トリプルチェックとフレックスタイム制その2~

2015/05/12

Q 最近、フレックスタイムが推奨されているとの報道を目にすることが多くなりました。勤務時間を自由にするということは、労務管理が難しくなるように感じるのですが、なぜフレックスタイムの採用が増えているのでしょうか?

 

A つい先日、国家公務員にもフレックスタイムが導入されるとの報道がありました。(2016年4月から国家公務員勤務時間法改正)

 

 実は残業問題に苦心しているのは、公務員の世界も同様で、柔軟な労働時間の管理手法を導入することで、早朝勤務などを推奨し、少しでも居残り残業を防止したいという狙いのようです。同時に民間企業への模範とする意味もあるとのことです。

 

 使いようによっては効果的なフレックスタイムですが、実はそれほど導入が進んでいません。企業規模別の導入率では、従業員1,000人以上の大企業では27.7%採用されているのに対して、99人以下の中小企業では3.2%となっています。(厚生労働省 平成26年就労条件総合調査)

 

 本来は、人手や人件費に制約の多い中小企業こそが、労働時間の効率化を進めなければいけないのですが、現実は逆のようです。

 

 採用しない理由は様々でしょうが、よく聞く理由は「導入方法を知らなかった」「出勤を自由にするとサボる社員がいるのではないか」など情報不足が原因と思われるものが多いようです。

 

 フレックスタイムは、必ず出社する「コアタイム」を設定した上で、始業と終業の時刻を従業員に任せる制度です。

 

 社内の会議は、全員が揃うコアタイムに実施して、あとは個々の社員のスケジュールに合わせるというように、できるだけ社員の自主性に任せる制度ですので、ホワイトカラーの働き方にはぴったりの制度と言えるでしょう。

 

 政府が推奨し、大手企業では導入が進んでいる早朝勤務も、社員の自主的な判断で始めることができます。早朝の静かな時間に集中的に仕事を片づけて、夕方には退社してプライベートの予定をこなすといったアクティブな働き方が可能です。

 

 さらにフレックスタイム制の法律上のメリットとして、労働時間のトリプルチェックが不要というメリットもあります。残業時間の計算は「1ヶ月の合計労働時間」から「その月の所定労働時間」を引き算するだけでOKです。一日単位や1週間単位で残業を手計算する必要はありません。

 

 シンプルな制度ですので、従業員に自己管理を任せてしまうこともできます。30日の月であれば171時間、31日の月であれば177時間という目標に合わせて、出勤と退社を調整できるでしょう。また、職責に応じて一定の定額残業代を設定してしまえば、さらに時間管理の自由度は増します。

 

 さらに、今後の労働基準法改正で、2016年4月1日から「3ヶ月フレックス」が導入される予定です。これは、3ヶ月の精算期間で総枠の範囲内に収まっていれば、残業代の支払は必要ないというもので、さらに時間管理の自由度が大きくなる制度です。

 

 ただし、過重労働防止の観点から、1ヶ月ごとに週50時間平均(月間では214時間)を超えた場合は月単位で残業代が発生するという制約はあるようですので、あまりに極端な割り振りはできません。

 

 すなわち、1ヶ月では214時間を超えず、3ヶ月合計で171時間×3ヶ月=513時間以内であれば残業代は発生しません。繁忙期は残業を頑張って、翌月以降で調整して、3ヶ月で帳尻を合わせるという働き方も可能になります。

 

 残業が減らない原因は様々ですが、固定化した労働時間による非効率も一つの原因です。暇なときに机に座っていても何の利益も生まないわけです。

 

 また上司や同僚に気兼ねする付き合い残業も原因の一つです。早く帰りたい人は早朝から仕事をしてさっさと夕方に帰れば誰にも気兼ねしません。逆に夜から調子が出る人は少し遅めに出勤すればいいでしょう。担当業務や生活のスタイルに合わせて、朝方、夜型と様々に選択できることで、効率的な時間の使い方につながっていくと思われます。

 

 弊社では、実務上の観点から様々な人事労務管理制度のご提案を承っております。今回取り上げたフレックスタイム制以外にも、さまざまな残業対策が存在しますが、制度を誤って採用していては元も子もありません。就業規則や諸規程の改正も含め総合的な対策も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズ HPはこちら


◆ ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆


当社では毎月1回、ご登録をいただいた皆様へメールマガジンを配信しております。

税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスをご案内しておりますので、ぜひ貴社の経営にご活用ください!

 

10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!!