GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|労基署調査 労働時間の把握について

2021/12/06

Q、当社では労働時間の把握の方法として、エクセルの勤怠表に労働者自身が始業・終業の時刻を入力する方式を採っています。この度労働基準監督署の調査でその方法について改善するように指導がされました。どのように改善すればいいですか。

A、労働者の労働時間の把握の方法が自己申告制の場合は、その記録された時刻が正しいかどうかの信憑性を深く調査され、指導されることが多いです。よってタイムカードや勤怠システムなど、機械的に労働時間を記録するツールの導入し、適切に運用を行うことが求められます。

 

解説(公開日:  最終更新日:

 

労基署調査において、労働者の労働時間の把握方法については、重点的に確認される項目の一つとなります。今回はその労働時間についての把握義務や労基署調査時の見どころ、対策などについて以下の通り解説致します。

 

1.労働時間の把握義務

労働安全衛生法が2019年に改正され、労働安全衛生法第66条の8の3にて「事業者は、面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない」と定められました。この改正により、企業は全労働者(管理監督者、みなし労働時間制適用者も含む)の労働時間の把握が義務となりました。

 

また、労働者の労働時間の把握についての具体的な方法については、平成29年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に沿って行う必要があります。ガイドラインの主な内容は以下の通りです。

◆労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。

◆使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

◆使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、

  1. 「使用者が、自ら現認すること」
  2. 「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録」
のいずれかとすること。

◆自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

 

2.具体的な調査の内容

労基署は調査時において、企業の労働者に対する労働時間の把握状況が適正なものであるかを上記のガイドラインを基に確認、調査をします。そして労働時間の把握の方法が労働者の自己申告制の場合は、その労働時間の申告が適正ものであるかについてより詳細に調査をします。具体的には以下の方法で調査を行います。

  1. ・PCのログ時刻や入退館の記録と申告された労働時間に乖離がないか
  2. ・労働者に対する直接のヒアリングを通じて、申告された労働時間に乖離がないか
  3. ・その他時間記録が確認できるものと申告された労働時間に乖離がないか

労基署は上記の方法により調査を行い、その結果、自己申告の労働時間の記録が実態の労働時間として疑わしい場合については、労基署は適正な労働時間の把握をするように企業に指導を行います。主な指導内容としては、

 

「労働者へのヒアリングなどを通じて、過去の労働時間について適正な労働時間を把握し、その結果、労働時間と認めたものについて、追加で賃金を支払うこと」

「今後、正しい労働時間の把握ができるように対策を講じること」

などがあります。

 

3.対策

労働者の労働時間の把握が自己申告制の場合は、申告の状況によっては正しい労働時間が把握できていない恐れがあります。また、労基署の調査時には、自己申告の場合は記録された労働時間が適正な時間であるかどうかを厳しくチェックする場合が多いです。よって、対策として、企業はタイムカードや勤怠システムなど、機械的に労働時間を記録するツールの導入を検討する必要があります。

 

タイムカードは比較的廉価で導入できるものであるため、コストを抑えるのであればタイムカードの導入を検討することをお勧めします。また、ある程度のコストをかけることができる場合は、給与計算事務なども効率的にできる側面もあることから勤怠システムを導入することをお勧めします。よって、コスト面や業務の効率化など、様々な要素を検討し、自社にあった勤怠管理ツールを導入することが大事です。

 

ただし、タイムカード、勤怠システムともに導入をしても、そのツールを使用して適正な労働時間の把握ができるかどうかは運用ルール次第です。よって詳細を含めて適正に運用ルールを定め、そのルール通りに運用することが必要です。運用について正しく行えない場合は、勤怠ツールを導入しても、適正な労働時間の把握ができない恐れがあります。そしてそのような状況下で労基署の調査が行われた場合は、勤怠ツールを導入していたとしても、適正に労働時間を把握するようにという指導を受けることもあります。

 

4.まとめ

労働者の労働時間の把握については、近年ではより厳密な運用を求められます。そして労働時間の把握状況が適正でない場合は、労基署調査を含め、様々な労務トラブルに発展することがあります。よって企業としては、客観的に労働時間の記録ができる勤怠ツールの導入と適正な運用ルールを定め、運用することが必要です。

 

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、今までに数多くの労基署対応を行った実績から、この労働時間の把握の方法について、あらゆる面で企業様に合わせたサポートが可能となっております。この労働時間の把握方法も含め、労基署対応についてお悩みの場合は、お気軽に弊社の営業案内のホームページよりお申し付け下さい。百戦錬磨の社労士がご対応させて頂きます。

 
 

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