2021/12/24
A、労基署調査で求められている書類がない場合、その書類内容によっては調査時までに作成しておいたほうがいいものや、ないということを正直に伝えたほうがいいものもあります。
労基署調査においては、企業が労働基準法、労働安全衛生法を初めとした労働法令について違反事項がないかどうかを調査されます。そしてその労働法令の取り決めの中には、書面の作成や届出義務があるものも多くあり、労基署調査時にはその書面の存否や内容の確認が行われます。今回は労基署調査時に確認が行われる書面が企業にない場合の対応で、2つの書面(賃金台帳、出勤簿)がない場合にどうすればいいのか以下に解説させて頂きます。
賃金台帳がなくて、給与明細の会社控えしかない。という企業については、労基署の調査時には給与明細の控えを持っていくしかありません。といいますのも、労基署調査は給与の支払の内訳に関する書類がなければ調査が成立しません。
ただし、賃金台帳については、労働基準法施行規則第54条第1項に記載すべき項目が以下の通り定められています。
おそらくほとんどの会社の給与明細は②、③の記載がないことが多いです。その場合は労基署から②、③を含めた全ての必要項目が記載されている賃金台帳を作成するよう指導が入ります。
タイムカードなどの出勤や退勤の時間が記録できるツールを導入していない。という企業については、各労働者の日々の出勤時刻や退勤時刻を他の社内書類(例えば営業日報など)などで正しく管理できている場合はその社内書類を持って行くことをお勧めします。しかしそのような書類がない場合は、出勤した日だけが分かる書類(例えばハンコの押印によって出勤日を記録しているなど)だけを持っていくことがいい場合があります。
なぜかと言いますと、例えば調査に必要であるからと、過去にさかのぼって適当な時刻を記載した出勤簿等を作成して持っていった場合、その時間の記録は事実を記録したものでないことがほとんどです。そして会社がこのように勝手に出勤簿を作ると、労基署は「企業が労働者の出勤記録の書類を改ざんしているのでは」という疑いを持つ場合があります。そしてこのように勝手に出勤簿を作る行為自体、動機は何であれ、労基署からの心象はあまりよくありません。よって日々の正確な出勤時刻、退勤時刻がわからない場合は、会社に現在存在する出勤を記録している書類を持参するほうが、労基署からの心象もいいことがあります。
ただし、上記の対応をした場合は、労基署より以下2点の指導をされる場合が多いです。
よって、労基署調査後については、上記2点について企業で対応し、改善する必要があります。
労基署調査において、賃金台帳、タイムカード等の書面は労基署調査の要となる書面です。なので企業でその書面が存在していなかったり、その書面の記載内容等が不十分である場合は、労基署はほぼ確実に改善の指導を行います。賃金台帳、タイムカード等については重要な書面であるため、現状、書面の整備が不十分な企業については、調査後に慌てて対応するというのではなく、すぐにでも整備を行うことが必要です。
社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、今までに数多くの労基署対応を行った実績から、労基署の調査対応や未然予防について、あらゆる面で企業様に合わせたサポートが可能となっております。労基署対応・予防についてお悩みの場合は、お気軽に弊社の営業案内のホームページよりお申し付け下さい。百戦錬磨の社労士がご対応させて頂きます。
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