GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|本社一括届出の方法を再確認!就業規則・36協定とコンプライアンス

2015/07/21

Q 当社は全国に小規模な営業所が数多くあり、就業規則や36協定の届出がたいへんです。本社で一括して処理できる制度があると聞いたのですが、その方法を教えてもらえませんか?

 

A 労働法では、就業規則や36協定について、原則として「事業場ごとに」届出することが求められています。ただ、実務的には、どの事業場も内容が同一である場合が多く、できればまとめて届出をしたいという要望が聞かれます。

 

 今回は、本社主導で労務管理を行うことを前提に、本社一括で届出を行う方法を確認してみたいと思います。(ただし、情報は2015年7月現在のものです。詳細は管轄官庁へお問い合わせください。)

 

(1)就業規則の本社一括届出

就業規則については、本社一括届出ができることは有名ですので、すでに実施されている会社も多いと思います。方法は以下の通りです。

 

◆就業規則の内容が同じものであるか確認してください。

 

◆本社分の「就業規則届出書」「意見書」「就業規則本体」を各2部(正本・控え)ご用意ください。(※1)

 

◆支社ごとの「意見書」、支社数分の「就業規則本体」をご用意下さい。(※2)

 

◆ 一括届出の対象事業場一覧表(所定の書式)をご用意ください。

 

(※1)新旧対照表が必要になる場合があります。

(※2)同じ労働基準監督署の管轄に複数の支社がある場合は、監督署の数分だけ提出すれば結構です。

 

 上記の内容をご用意いただき、「本社の管轄労働基準監督署」に提出します。その時に、支社の分については、いったん返却されますので、東京労働局内にある「就業規則配送作業室」へ送って下さい。そこから全国の労働基準監督署に配送されるという段取りになっています。

 

 なお、就業規則の届出日は、すべて本社の就業規則届出の受理日と同じになります。

 

(2)36協定の本社一括届出

36協定も一括届出は可能ですが、協定の締結当事者として、「各事業場の労働者の過半数で組織された労働組合」が必要です。

 

労働組合が存在しない場合は、原則どおり、事業場ごとに代表者を選出して協定を締結していただくことになりますので、ご注意ください。

また、全ての事業場の協定内容が同一であることも前提となります。事業場ごとに時間外労働の状況が異なる場合は、一括届出はできません。

 

一括届出の具体的な手続方法は以下のとおりです。

 

◆「本社の管轄労働基準監督署」に本社と支社の合計数分の36協定書を届出します。

 

◆「対象事業場の一覧表」も合わせて提出してください。

 

◆労働組合について、「全事業場における過半数組合であること」が明らかとなる文書も同時に提出する必要があります。(労働組合規約のコピー等)

 

 以上のように、本社一括届出が可能な場合は、ぜひご活用いただきたいと思いますが、そうではない場合は、届出漏れにご注意いただきたいと思います。

 

 少人数の営業所の場合は、現場で管理しきれない場合があります。これらの届出が漏れることがないように、本社担当者様は今一度ご確認いただければと思います。

 

 営業所任せで放任している場合は、監督署の調査で届出漏れが発覚すると、本社の管理責任も厳しく問われることになります。

 

 よくあるミスですが、就業規則については、従業員10人未満であるため作成義務がないと思い込んでいたところ、いつの間にかパートやアルバイトなどが増え、10人以上になっていたという事例もあります。

 

 また、10人未満ということで安心して、就業規則の届出がされていない場合は、その営業所については「就業規則が存在しない」という状況になります。

 

 何かトラブルがあった場合に、営業所の服務規定や社員の権利義務が不明確であれば、社員の一方的な主張が全面的に認められてしまうなど、会社が思わぬ法的リスクを負うことにもなりかねません。

 

 さらに、36協定については、労働法の中でも最も基本的な協定であり、用紙1枚で済む気軽さから、つい甘く見てしまう場合があります。

 

 しかし、36協定が未締結・未届ということであれば、全ての残業が違法残業になります。違法残業に対する、行政の対応は厳しくなっており、先日の報道でも大手小売企業が違法残業の疑いで書類送検されるという事件がありました。他人事とは言えない状況です。今一度、支社や営業所も含めて、コンプライアンスの再確認をしていただきたいと思います。

 

 弊社では、複雑化する労務問題やコンプライアンス対策についても、ご相談を承っております。手続や運用も含め、お気軽に当グループ社会保険労務士までご相談ください。

 

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