2015/09/22
Q 当社では、定期的に夜間作業が発生する場合があり、深夜24時を過ぎて、翌日の早朝まで作業が続く場合があります。社員には、作業完了後に帰宅させて休息をとらせるようにしていますが、この場合の労働時間や賃金の計算はどうなりますか?
A まずは労働時間と割増賃金の基本をおさらいしましょう。
◆休憩時間を除き、1日8時間を超えた時間外労働は125%の割増賃金
◆22:00~翌朝5:00の時間帯は深夜割増として、さらに25%加算
◆法定休日に当たる場合は、一律135%の割増賃金
さて、一般的には上記のルールで問題ないのですが、業務によっては、例外的に残業が深夜におよび、24時を過ぎて早朝まで続く場合があり、このような場合の計算にお悩みのご質問をいただくことがあります。
例えば、下記のような例を考えてみましょう。
○月1日(月)の18:00から作業を開始して、翌2日の朝6:00に業務終了で帰宅した場合(20:00~21:00で休憩をとったものとします)
このような場合は、行政通達により、18:00~6:00を一つの勤務ととらえ、始業時刻の属する日(1日)の労働として計算するものとされています。
[行政通達 昭和63.1.1 基発1号]
一日とは、午前0時から午後一二時までのいわゆる暦日をいうものであり、継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること。
通達に従い、労働時間と割増率を計算すると下記のようになります。
◆18:00~22:00 3時間(休憩1時間)×100%
◆22:00~ 3:00 5時間×125%(深夜割増)
◆ 3:00~ 5:00 2時間×150%(時間外・深夜割増)
◆ 5:00~ 6:00 1時間×125%(時間外割増)
以上が○月1日の勤務として計算されます。
6:00で終了して帰宅した場合は、○月2日は出勤なしということになります。(特別休暇で対応する場合が多いと思います)
逆に作業が長引いて、○月2日の始業時刻(9:00)を過ぎて11:00まで作業した場合は、○月2日は、9:00~11:00まで出勤して、11:00に早退ということになります。(これも特別休暇で対応する場合が多いと思います)
以上が基本となりますが、これが○月5日(金)の18:00から開始され、翌日6日(土)が法定休日になっている場合だと、取り扱いが異なる点にご注意ください。
◆18:00~22:00 3時間(休憩1時間)×100%
◆22:00~24:00 2時間×125%(深夜割増)
◆24:00~ 5:00 5時間×160%(深夜・法定休日割増)
◆ 5:00~ 6:00 1時間×135%(法定休日割増)
法定休日は、暦日で午前0時から始まります。
午前0時を過ぎた場合は、一律135%加算の対象になります。
(深夜時間帯はさらに25%追加されます)
休日の前日に徹夜の突貫作業を行うような場合は、その休日が法定休日なのか、所定休日なのかきちんと区別することが重要です。
法定休日と所定休日の違いは、別途ご説明させていただいおりますので、ご参照ください。
なお、参考までに日をまたいだ休日出勤についての行政通達をご紹介いたします。
[行政通達 平成6年5月31日 基発331号]
(1)休日労働となる部分の考え方
法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。
したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日勤務が翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が三割五分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。
(2)時間外労働となる部分の考え方
(1)で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。この場合、一日及び一週間の労働時間の算定に当たっては労働時間が二暦日にわたる勤務については勤務の開始時間が属する日の勤務として取り扱う。
行政通達ということで、たいへん分かりにくい書き方になっていますが、法定休日労働は午前0時から始まるという点と法定休日労働時間は時間外労働から除かれるという考え方は重要なポイントですので、人事担当者としては把握しておきたい点です。
弊社では、労働時間の管理も含め、様々な人事労務管理制度のご提案を承っております。就業規則や諸規程の改正も含め総合的な対策も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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