2015/10/27
Q 当社では、残業を上司の許可があった場合にのみとしていますが、従業員が指示のないまま居残って残業していることが見受けられます。この許可のない残業には残業代は支払わないと取り決めても問題はないでしょうか?
A 貴社のように従業員の残業を許可制にする会社は多くみられます。許可制にすることで、使用者の指揮命令による残業時間については賃金を支払わなければなりませんが、従業員が許可なく任意に行った残業は、指揮命令によるものではない行為として残業代を支払う義務はないと考えることができ、無駄な残業を抑えることに効果が見込めます。
就業規則などで残業を許可制にすることを規定して、それ以外は認めないとすること自体は法律に触れるものではありません。
ただし、ここで問題になるのはその運用方法です。
会社は、労働基準法で、従業員の労働時間を適正に把握しなければいけない、とされています。会社が許可をする残業時間に、上限を決めて、それを超えて申告があった場合には許可をしない、あるいは申告を出しにくいような社内風土になっていて、従業員が許可のないままに残業をすることが当たり前になっているときには、この適正な把握ができていない、と取られてしまいます。
また、業務内容や厳しい納期などから、明らかに所定の就業時間内では収まりきらないと客観的に見て取れる場合にも、従業員が許可なし残業をしていることを、上司が認識していれば、残業を黙示に指示しているとして、残業に対する賃金を支払わなければなりませんので注意が必要です。
このように、就業規則に規程があって、従業員に周知していても、実際には許可なし残業があれば、これを放置しておくことは、サービス残業請求や長時間労働による労災の発生を招いてしまい、会社としてはとても危険です。
残業をさせない、と従業員に宣言することも大切なことですが、次のように、残業を減らすための根本的な対策を取っていくことは避けることはできません。
(1)許可のあった残業時間と実際の労働時間に開きの把握
(2)(1)に開きがある場合の原因の検討
(3)業務量・業務配分・仕事上の無駄の洗い出しで残業時間の見直し
これらの残業の実態の調査と改善に合わせて、変形労働時間制や裁量労働制の導入など、所定労働時間を見直すことで、残業時間と残業に対する賃金を抑える有効な手段となることもあります。
弊社では、残業対策に対するご相談を承っております。ぜひお気軽にご相談ください。
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