2026/03/23
A、労務管理の総点検は、改善基準告示など国が定めたルールを守れているかを確認するだけにとどまりません。物流の2026年問題が迫る今、ルールを守って働く環境を整えることが、荷主の信頼を得て長く協力し合うための確かな土台づくりにつながります。
2026年4月以降、荷主にも「物流を効率化する法的な義務」が生じます。荷主にとっての物流は、外部コストから、経営課題へと変わっていきます。荷主は、運送会社と一緒にこの課題を解決していかなければなりません。その際、運送会社が自社の労働実態を客観的なデータで持っていると、大きな強みになります。具体的な数字をもとに解決策を提案できるため、感情論ではなく、共にルールを守り物流を維持するための共通の課題として提示することができます。
物流の2026年問題とは、令和8年(2026年)4月に施行される改正物流効率化法によって、一定規模以上の企業(特定事業者)に物流を効率化する法的義務が生じ、幅広い経営課題が現れることを指しています。今後、行政から荷主への働きかけも活発になると見込まれており、荷主と連携して物流を改善する取り組みが本格化するこの動きは、運送会社にとって状況を良くする絶好のチャンスとなります。
足元の状況をみると、労働基準監督署による運送業界への指導は、依然として多い状況です。令和6年のデータでは、自動車運転者を使う事業場への指導は4,328件でした。そのうち、トラック事業者が3,424件と最も多い結果となっています。さらに、トラック事業者の81.4%にあたる2,786事業場で法令違反が指摘されました。
違反事項では、拘束時間や休息期間といった改善基準告示に関する違反が目立ちます。「うちは何となく守れている」という安心は禁物です。日々の業務には、気づかないうちに法令違反や未払い残業代トラブルにつながる落とし穴が潜んでいます。
1日の拘束時間は、原則13時間以内、最大15時間(条件により16時間)と定められています。ここで注意が必要なのは、1日の拘束時間のカウント方法です。
1日の拘束時間は、暦日(午前0時から24時)ではなく、業務の開始時刻から24時間で計算します。例えば、月曜日の始業が朝8時で、火曜日の始業が前日より早い朝6時だとします。月曜日の始業から24時間は、火曜日の8時までです。つまり、火曜日の6時から8時までの2時間は、月曜日と火曜日の両方の拘束時間として二重で計算しなければなりません。
このルールを見落とし、退勤時刻だけで計算すると、気づかないうちに拘束時間の上限を超えてしまうことになります。
令和7年(2025年)から、改正された貨物自動車運送事業輸送安全規則により、荷待ちや荷役時間の記録義務が全車両に拡大されました。こうした時間が、運転日誌などにきちんと記録されているか、確認が必要です。正確な記録がないと、実際の労働時間との間にズレが生じ、未払い残業代トラブルや行政指導のリスクに直結します。記録も大切な業務だと、ドライバーと改めて共有する必要があります。
2026年は、改正物流効率化法への対応を見据える時期となります。荷主に現場の状況を伝えるのはドライバーの記録です。荷主への建設的な提案には、日々の確実な記録が欠かせません。
運送会社において、車両の安全運行を支えているのが運行管理者です。運行計画の作成やドライバーの体調管理など、業務は多岐にわたります。重大事故の裁判例では、運行管理者が逮捕され実刑判決を受ける事案もあるほど責任は重大です。加えて、近年のドライバーの労働時間規制等により、運行管理者の業務負荷はますます高まっています。現場では、法的に不備がないか不安を抱えながら業務にあたるケースも少なくありません。 運行管理者がこうした不安を抱えずに、本来の役割である安全管理に専念できる環境を整えることが大切です。
社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、改善基準告示の適合チェックから、荷主との調整等、法令遵守のためのアドバイスを中心に幅広く支援しております。ぜひお気軽にご相談ください。
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