2016/06/07
Q 従業員との協定を結ぶ時に、従業員の代表者を選ばないといけないそうですが、会社側が指名するような方法はいけませんか?
A 労働基準法の中には、本来は禁止や、制限されていることが、会社と従業員の代表者とが労使間の協定を結ぶことで合法になる項目があります。
代表的なものは、法律で決められた時間を越えて労働させる場合に必要な36(サブロク)協定「時間外労働・休日労働に関する協定」でしょう。※1
協定の当事者である、従業員代表者の選び方を間違えると、結んだ協定が無効になってしまいます。
この適正さは、最近はとくに厳しくみられるところなのでポイントを絞って確認していきましょう。
□ポイント1 過半数代表者となることができる労働者の条件
会社にとっての協定の相手方になる従業員の代表者とは、事業場単位でみて、従業員の過半数で組織する労働組合が無い場合は、従業員の過半数を代表している者を指します。
代表者選出の一つ目のポイントは、従業員の過半数代表の条件は、労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者ではないことです。
管理監督者とは、会社によっても対象者は異なりますが、一般的には部長、工場長など、経営者と一体的な立場の「使用者側」の従業員です。従業員過半数代表になれるのは、一般の従業員または、役職があったとしても使用者側にならない者に限定されます。
□ポイント2 過半数代表者を選出するための正しい手続き
二つ目のポイントは、過半数代表者の選出の手続きと選出の方法です。
従業員全員に、どういった理由で代表者を選出するのかを知らせたうえで、投票や挙手などで選出してください。
選出の手続きは、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、従業員の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きを取らないといけません。
ご質問のように、会社の代表者が特定の従業員を指名することは、使用者の意向によるものですから、ポイント2の正しい手続きがされていないということになり、協定は無効になってしまいます。
この他にも代表者以外の従業員が、代表者が誰なのかを知らなかったり、協定があること自体知らなかったりということになると同様です。
無効になった場合は、労働基準法で禁止されていることがそのまま適用されるため、残業をしていたこと自体が、法律違反になってしまい罰則を受ける場合もあります。
最近では、従業員から協定について異議を唱えられて、労働基準監督署からの調査を受けるケースが増えており、会社にとっては大きなダメージになりかねません。
良い職場環境を作るためにも、法律を正しく運用することは強く求められるようになっています。
ガルベラ・パートナーズでは、職場の働きやすさを重視した労務管理のご提案をしています。ぜひご相談ください。
※労働基準法第32条では、1日8時間、1週40時間が、労働時間の限度であって、この時間を越えて労働させてはいけないことが規定されています。そして、この法律に違反すると、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処される場合があります。
この罰則が、免除される効果を発生することができるのが、36協定「時間外労働・休日労働に関する協定」です。
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